2018 Fiscal Year Annual Research Report
外因性増殖因子の刺激により最適化を図った“機能的幹細胞補充療法”の開発
Project/Area Number |
17H04359
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
水野 博司 順天堂大学, 医学部, 教授 (80343606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 礼人 順天堂大学, 医学部, 教授 (10365645)
飛田 護邦 順天堂大学, 革新的医療技術開発研究センター, 准教授 (10599038)
田中 里佳 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70509827)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医学 / 脂肪組織幹細胞 / 増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究予定としては、昨年度に引き続きbFGFや多血小板血漿(PRP)などの外因性増殖因子刺激によりどのような種類の内因性増殖因子が脂肪組織幹細胞から放出されるかを検討するとともにマウス・ラット疾患モデルに対するその治療効果を検証することであった。しかしながら前年度に引き続き研究施設の改築移転が昨年末にようやく終了し、その間の動物実験がほぼ実行に移すことが不可能であった。そのためin vitroにおいて脂肪幹細胞からの内因性増殖因子発現のより詳細なプロファイルの構築をすべく計画の変更をした。具体的には市販のヒト由来ASCs(LONZA社製)を基礎培地(D12132: Mesenchymal stem cell growth medium)で培養後、bFGFで刺激を加えた後に継時的に培養上清を回収し、昨年度に加え更に2種類を追加し合計3種類のTaqMan Array (Angiogenesis, Cytokine Network, Growth Factor)を用いて、ASCsから発現が誘導されてくるサイトカインの遺伝子発現を探索した。その結果、まず血管新生関連遺伝子の網羅的解析を実施したところ、IL-8の発現が安定的に高く、次いでCSF3、ANGPTL4の発現が高値を呈した。次に種々のサイトカインネットワークに対する網羅的遺伝子解析においてはやはりIL-8の発現が高値を示し、次いでIL-6、TNFなどが安定的に高発現を示した。最後に成長因子関連の解析を行ったところ、HBEGF、IL-1Bの発現が常時安定的に高値を示した。 一方、PRP等その他の外因性増殖因子による刺激試験は実行に移すことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトのASCを用いたin vitroの実験系を用いることにより、当初の目的である外因性増殖因子により刺激されたASCから放出される内在性増殖因子の同定に関しては、それなりの成果を得ることができた。その一方で、現在研究機関全体の大規模な改築移転を行っている関係で、動物実験の大幅な縮小を余儀なくされており、その結果としてモデルマウスを用いた機能的幹細胞補充療法の効果に関する検証を行うことはできなかった。 しかしながら興味深いことに、今年度のin vitroの研究成果を通じ、これまでのマウスを用いた先行研究とは異なるサイトカインの遺伝子発現がヒト細胞を用いた研究で明らかになりつつあり、ヒトではマウスとは異なるサイトカインがASCによる組織再生や血管再生に関与している可能性も念頭において研究する必要が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのin vitroにおける研究を通じて同定された、bFGF刺激によるASCsからの内因性増殖因子や発現の上昇した遺伝子群に着目し、次のステップとしてタンパクレベルでの発現増強が得られるかどうかを最終年度に検証する。それと同時に施設整備の関係で遅れていたin vivoによる検証実験にも着手し、少しでも遅れを取り戻すべく実行に移していく予定である。
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Research Products
(5 results)