2018 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫炎症反応・凝固線溶反応の心停止蘇生後臓器不全への関与
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17H04361
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸藤 哲 北海道大学, 医学研究院, 名誉教授 (30125306)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心停止 / 臓器不全 / 自然免疫炎症反応 / 凝固線溶反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年に北海道大学病院自主臨床研究審査委員会承認を得て院外心停止における自然免疫反応と凝固線溶反応連関に関する前向き医臨床研究を開始し症例を集積した。2019年度末までに健常成人対照10症例と患者45症例となり、中間解析を実施した。その結果以下の傾向を確認する事ができた。 1)心停止蘇生に伴いdamage-associated molecular patterns (DAMPs)の代表であるヒストンH3が高値となる、 2)大量のトロンビン産生に引き続きプラスミン産生が起こる、 3)プラスミン産生は傷害血管内皮細胞から遊離したtissue-type plasminogen activator (t-PA)が原因と考えられる、4)t-PAの速やかな上昇後に線溶抑制因子であるplasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)が上昇する。これらの変化は、心停止蘇生に伴い播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation, DIC)が起こる事を示唆し、その原因として虚血/再灌流に伴う傷害細胞・組織から遊離したDAMPs(ヒストン)が想定される。さらに、線溶動態に注目すると、蘇生後数時間はt-PAが関与する線溶亢進型DICの病態に一致し、時間経過とともにPAI-1が主因と想定される線溶抑制型DICへ移行すると考えられる。これらのDICの病態の推移は、外傷および敗血症で見られるDIC病態および経過に一致する。この中間解析結果では、研究課題「自然免疫炎症反応・凝固線溶反応の心停止後臓器不全への関与」にある、臓器不全の検討が実施されていない。これらは2020年に継続申請した本研究の症例集積により明らかに出来ると考える。中間解析結果は、2020年日本救急医学会学術集会で報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では120症例を集積予定であるが、2019年度末で約50症例に止まり、研究の進捗は遅延していると考えられる。この理由として以下が考察される。対象症例が心停止患者であり、錯綜した蘇生現場で侵襲(採血)を伴う3回の検体採取が容易ではない事、さらに患者が心停止で意識がない状態であり文書同意を最大の悲嘆の中にある家族あるいは近親者から頂く必要があるが、この文書同意取得に多大の困難が伴う事が症例集積の少ない原因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度末の時点での症例登録が予定収集症例の約1/3と少ないため、研究計画を変更した。当初の研究計画書では2020年6月に症例登録を終了する予定であったが、研究遅延を考慮して症例登録期間に係る研究計画変更を申請し、すでに承認されている。この承認に伴い、症例集積を2020年度も継続する。さらに、研究実績の概要に述べた様に中間解析結果から研究仮説の証明がおおよそ可能と評価した。この中間解析結果と合わせ、2020年度に約50症例(計100症例)を集積する事で研究仮説を証明したい。2020年度内に研究成果をとりまとめ、2021年には本邦および欧米学術集会で発表し英文論文として公表予定である。
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[Journal Article] 方針決定が困難な症例にどのように対応していくか?2019
Author(s)
澤村 匡史, 則末 泰博, 美馬 裕之, 植田 育也, 立野 淳子, 橋本 圭司, 吉里 孝子, 木下 浩作, 藤野 裕士, 丸藤 哲, 氏家 良人
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Journal Title
日本集中治療医学会雑誌
Volume: 26
Pages: 205~216
Peer Reviewed / Open Access
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