2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H04372
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
照沼 美穂 新潟大学, 歯学系, 教授 (50615739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
竹林 浩秀 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60353439)
南野 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90328063)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視床下部 / アストロサイト / グルコース / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画1年目の本年は、C57Bl6JマウスやSDラットの胎児の視床下部からアストロサイトを分離し、培養アストロサイトを作製するところから開始した。視床下部のアストロサイトは大脳皮質のそれと同様の方法で培養することができ、研究に使用可能なことがわかった。しかしながら、細胞の大きさにはかなりの違いが認められた。このようにして作製したアストロサイトは、低グルコース培地、高グルコース培地でそれぞれ培養した。高グルコースで長期間培養しても細胞死は起こらなかったが、細胞内に小胞のようなものが出現してきたため、これらの解析を電子顕微鏡で行った。現在、ミトコンドリアの形態の変化についても同様に検討し、老化との関連を探っている。 さらに2種類の培地で培養したアストロサイトにおいて、GABAB受容体・AMPK・GSの発現量、細胞内局在をウェスタンブロッティング法や免疫染色法にて解析した。細胞内のタンパク質の変化だけでなく、細胞膜ビオチン化法にて、高グルコース刺激がアストロサイトの細胞膜に発現するGABAB受容体にどのような変化をもたらすかを解析した。また、アストロサイトのGSの発現は細胞内のグルタミンの量によって変化すると考えられている。そこで高グルコース刺激後、グルタミンの細胞内導入がGSの発現にどのような影響を与えるかを検討した。 本年度はさらに次年度以降の研究のために、視床下部アストロサイトのGABAB受容体のノックダウンが神経細胞に与える影響を調べようと、GABAB受容体のshRNAを導入したアストロサイトの作製を試みた。現在までに、アストロサイトの細胞死が誘導され、ノックダウン細胞の作製には成功していない。そのため、次年度に他の方法を用いて作製を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに進めるために、当初設定した順番に研究を行って行ったが、視床下部のアストロサイトを長期間高グルコース培地で培養すると、低グルコース培地で培養した時とは異なる細胞内の形態学的な変化が認められたため、それらについても解析を進めることにした。これらは当初の研究計画にはなかったものである。また、視床下部のアストロサイトのGABAB受容体のノックダウンを培養細胞に起こすと細胞死が誘導されてしまったことから、現在他の方法で行う準備を進めている。それ以外は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
高グルコース培地で培養したアストロサイトで発現が変化するタンパク質が幾つか見出されたことから、これらのタンパク質がアストロサイトがグルコースを取り込む際に用いるグルコーストランスポーター(GLT1)の活性によって発現が変化するかどうかを確認する。この時、グルコースの取り込み量についても解析を行う。さらにこれらのタンパク質が神経炎症に関与するかどうかも、GFAPの発現量や細胞内カルシウム量を測定することで明らかにする。1年目の研究と合わせて、これらの研究により、糖代謝異常がもたらす食欲制御機構破綻のメカニズムをアストロサイトに焦点を当てて明らかにできると考える。 加えて、視床下部特異的にアストロサイトのGABAB受容体の発現を抑えたマウスの作製を開始し、その解析を行う。
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Research Products
(6 results)