2017 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌による歯周疾患発症と全身性疾患憎悪における病原性理解の新機軸
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17H04378
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大原 直也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70223930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 真彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10579105)
大原 直子 岡山大学, 大学病院, 講師 (80301365)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 歯周病原細菌 / ジンジパイン / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、歯周病原細菌Porphyromonas gignivalis(P. gingivalis)が産生するプロテアーゼ、ジンジパインによる歯周炎に対する影響とその役割について分子メカニズム解明を目的とする。これまでにP. gingivalis の主要病原因子であるジンジパインとCOX-2発現/PGE2産生に関わる報告はほとんどない。我々は先行実験から、本菌による単球系細胞株THP-1への感染はCOX-2発現/PGE2産生を認め、また野生株とジンジパイン欠損株の使用により、ジンジパインがCOX-2発現/PGE2産生に関与する結果を得ている。平成29年度の研究では、ジンジパインによるCOX-2発現/PGE2産生の分子解析を行ない、ジンジパインの歯周炎への関与を調べた。宿主細胞内シグナル伝達経路に対する数種の阻害剤を用いて、ジンジパインによるCOX-2発現に関わる宿主因子の解析を行なった。MEK/ERKの阻害剤であるPD98059とIKK/NF-kBの阻害剤であるBAY11-7082の使用により、ジンジパインによるCOX-2発現/PGE2産生が抑制された。さらにCOX-2発現に関わる転写因子を調べるため、THP-1細胞にERK1/2の遺伝子導入を行ないジンジパインによるCOX-2発現への影響を調べた。また転写活性ドメインを持つNF-kBファミリーのp65, RelB, c-Relに対する遺伝子発現抑制と遺伝子導入により同様にCOX-2発現を調べた。その結果、MEK/ERK経路はc-Fos/c-Jun(AP-1)を、NF-kBはp65を介してCOX-2発現を制御していることが示された。今後は、MEKおよびIKKに繋がる分子機構を調べ、ジンジパインによるCOX-2発現/PGE2産生の分子機序を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究は、研究実績の概要に示すように初年度から昨年度までの研究結果をもとにして、新たな結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
ジンジパインによるCOX-2発現誘導とPGE2産生が認められたことから、詳細な分子機序の解明のためにMEKとIKKに繋がる上流のシグナル伝達の分子解析を行なう。期待される結果は、ジンジパインの最初の作用となる宿主細胞の膜タンパク質を明らかにできるかもしれない。また今回の結果は、細胞内のアラキドン酸代謝経路の活性化が起こっているので、その他の代謝産物の測定も合わせて行なう予定である。
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