2018 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動による舌根部オーラル・フレイル回避効果に関する基礎研究
Project/Area Number |
17H04391
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
皆木 省吾 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80190693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬田 陽介 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60794477)
兒玉 直紀 岡山大学, 大学病院, 助教 (70534519)
前田 直人 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10708051)
川上 滋央 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60708072)
沖 和広 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00346454)
西川 悟郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (00172635)
丸尾 幸憲 岡山大学, 大学病院, 講師 (60314697)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有床義歯補綴学 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,咀嚼・嚥下運動時の口腔底・頸部筋群の活動を詳細に評価できるシステムを構築し,さらにこの方法を機能運動が低下した高齢者においても定量評価できるキャリブレーション手法として確立することである。本研究では筋電図計測システムを用いて、咀嚼時,構音時および舌根部挙上運動時の筋電図記録を行っている。 1.構音時の舌機能について 被験音は舌根部の挙上運動を伴う/ka/,/ko/,/ga/,/go/の4音とし,これらの被験音について,サウンドレベルメーターを用いて段階の異なる音量での構音時の舌根部挙上運筋活動を記録した。これまでの計測では声量と舌圧に正の相関があり,さらに一定の声量で相関関係がプラトーに達する傾向が認められている。 2.咀嚼時の舌機能について グミゼリーを自由に咀嚼した際の舌根部の筋電図測定を行った。その結果,咀嚼時の筋活動には ①咀嚼側と同側の舌根部の筋活動量が大きい ②咀嚼側と反対側の舌根部の筋活動量が大きい ③咀嚼側の変化による舌根部の筋活動への明瞭な影響を認めない という3つの傾向を認めた。また,自由咀嚼時に咀嚼回数が多い咀嚼側を『頻回咀嚼側』と定義し,グミゼリーを片側で咀嚼した際の舌根部の筋活動量についても検討を行ったところ,主咀嚼側での片側咀嚼時に,同側の舌根部の筋活動量が大きくなる傾向にあることが示唆された。咀嚼時の舌運動を考慮すると,咬筋の筋活動に同調してみられる舌根部の筋活動は,食塊の保持に関与していると考えられ,その活動パターンは咬合様式,主咀嚼側,咀嚼位置などによる影響を受けていることが考えられた。また,咀嚼に努力を要するグミゼリーのように硬い食品では,咀嚼能率を向上させるために食塊を歯列に保持することが重要であり,主咀嚼側では舌が効率的に活動している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咀嚼時,構音時および舌根部挙上運動時の筋電図記録についてはすでにデータの収集が終了し,現在解析中である。構音時の舌根部筋活動量を解析することにより,キャリブレーション手法の確立に必要な知見が得られている。また,咀嚼時の筋電図解析では健常者における傾向を把握できるところまで至っており,おおむね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き若年者の咀嚼・嚥下運動時における舌根部筋活動の解析・評価を継続する。加えて本年度は高齢者における機能運動時の舌根部挙上筋活動を評価し,健常若年者との差を評価確認する。研究対象者は欠損歯列を有する高齢者とし,舌根部の筋活動をバイオフィードバックした状態で咀嚼や舌根部の運動を行わせる。また舌根部の筋活動が大きく,訓練効果が高いと思われる運動を舌根部のトレーニングとし,トレーニング前後での筋活動様相の変化を評価する。舌根部の筋活動量は本研究計画で確立したキャリブレーション法を用いて標準化を行う。
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Research Products
(1 results)