2017 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運動能を指標とした再生医療向け非侵襲的口腔粘膜上皮細胞評価システムの開発
Project/Area Number |
17H04398
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 大輔 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10380255)
飛田 成史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (30164007)
加藤 寛子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70749994)
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 特任助教 (70778703)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / 培養口腔粘膜上皮細胞 / 品質管理 / 細胞運動能 / 細胞増殖能 |
Outline of Annual Research Achievements |
測定に供する細胞を、当初計画と変更し初代の培養口腔粘膜上皮細胞とした。21%O2濃度培養条件でタイムラプス撮影可能な顕微鏡(現有機器)を用い、15分おき24時間、連続観撮影した。ヒト初代培養細胞で個体差の大きさを考慮し、サンプル数は200とした。今年度は確実に細胞運動能と細胞増殖能の相関を確認するため、再生医療製品の製作工程はある程度度外視して、培養開始から4-5日経過した初期の接着したての増殖期に入りたてのコロニーを標的とした。研究分担者の佐藤の協力によって、細胞を追跡して運動能の評価が可能になるようなパラメータをいくつも試した結果、オプティカルフローという画像解析亜アルゴリズムが使用可能ではないかという手がかりを得た。これは、物体が移動するときに各物体の移動方向と速度によってベクトル設定する汎用されている方法である。細胞撮影画像を処理して動画を作成し、その動画にあるコロニーの細胞移動によって生じる各ピクセルの“輝度の差”を算出し、その総和を細胞移動速度の相対値として用い、細胞運動能の定量評価を行うこととした。パラメータの名称として、15分間隔で96枚撮影した24時間のベクトルの平均を細胞運動の代表値とするので、平均速度規模と命名した。以上の測定は、35mm培養皿において、ランダムに複数の観察領域を選定、撮影し、運動能を計測した。今年度はデータ収集に没頭した。さらに、増殖能の指標としてはDishを固定し、追跡したコロニーを同定し、細胞数から細胞倍加の値を増殖能の指標とした。この二つにはどうやら正の相関がでそうであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞運動能評価に用いる方法は、当初の計画とは全く異なることになったが、目的は細胞を画像処理で同定し、その細胞の動きのパラメーターを非侵襲的に測定し、定量化することにあるので、方法論は問題でない。口腔ケラチノサイトという、ポピュラーではない細胞であり、フィーダー細胞も用いていないため細胞そのものがコンパクトなコロニーを形成せず、比較的ゆるいコロニーであり、ばらけて動いているため、測定に困難さを伴うと思ったが、オプティカルフローという、かなり著名な解析アルゴリズムに遭遇でき目的の測定だが可能になったので、1年目として順調であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞運動能評価のプロトコールをさらに検討し、より再生医療の臨床現場に即した状態での観察方法を見出したい。かつ細胞運動のメカニズムについての分子生物学的アプローチも行っていきたい。
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