2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H04413
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石原 嘉人 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70549881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯村 忠浩 愛媛大学, 学術支援センター, 教授 (20282775)
早野 暁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20633712)
上岡 寛 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80253219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 歯牙移動 / 骨細胞性骨溶解 / Sclerostin |
Outline of Annual Research Achievements |
骨細胞性骨溶解は骨細胞が破骨細胞の様に骨基質を溶解し、生体にミネラルを供給するという概念で、骨代謝学領域で再注目されている事項である。本研究は、矯正学的歯の移動で起こる骨改造に骨細胞性骨溶解が及ぼす影響を生体バイオイメージングとマウスジェネティクスを用いIn vivo, Ex vivo, In vitroから検討する事で、歯牙移動制御に関与する分子機構を明らかにする。そして、矯正歯科治療期間短縮への臨床展開を見据えた研究基盤の確立する事を目的としている。また、本研究代表者は、これまでに骨細胞が分泌するWntシグナルのアンタゴニストSclerostin (Scl)が骨細胞性骨溶解の制御因子である可能性を見出している。そこで今年度確立した実験的歯の移動モデルを用い、矯正学的歯牙移動の際に歯槽骨で生じるSclの発現変動に関し時空間的解析を行った結果、以下の知見を得た。 1.牽引側でのSclの発現は1日目においてのみ有意に減少する一方、圧迫側では5日目をピークに10日目まで有意に上昇した。 2.圧迫側と牽引側でのSclの対比的発現変化は、歯根膜境界部から歯槽骨方向へ経時的に拡散し、5日後をピークに減衰した。 3.細胞単位での解析において、牽引側ではScl陽性細胞の割合に著明な変化を認めなかったのに対し、圧迫側では5日後において有意な上昇を認め、10日後では歯の移動開始前の水準に戻った。 4.骨代謝関連因子群の遺伝子発現の上昇及び下降は、圧迫及び伸展力で対照的な結果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度実施計画では、マウスを用いた実験的歯の移動モデルを作成し、骨細胞性骨溶解の変動について時空間的解析を行う予定であったが、その計画を概ね達成できたため。また、今回の研究の基盤となるSclerostinの時空間的な発現変動の結果についてをまとめ、作成した論文はJournal of Dental Researchへ投稿し、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度確立した実験的歯の移動モデルならびに時空間的なSClの発現解析法を基盤とし、今後はSclerostinをコードしているSOST遺伝子について、骨細胞特異的欠損マウス(DMP-1 Cre; SOSTflox/flox)を作成しマウスジェネティクスを用いた検討へと発展させていく予定である。
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