2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cell fate determination of mesenchymal stem cells by extracellular mechanical stress
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17H04414
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩本 勉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (90346916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 朗仁 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (50244083)
長谷川 智一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 講師 (50274668)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞外圧 / 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / 象牙芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
多能性を有する間葉系幹細胞は,骨芽細胞,脂肪細胞,筋細胞,軟骨細胞等に分化できる細胞で,骨や血管,心筋の再構成を期待した再生医療への応用が開始されている。近年では,神経(外胚葉),肝細胞(内胚葉)などと胚葉を超えた分化能も報告され,体のあらゆる組織に存在することから再生医療における細胞ソースとして大きな期待がかかっている。しかしながら,細胞特性についてはまだ不明な点が多い。そこで,本研究では細胞外環境の一つである圧環境に着目し,細胞外圧が間葉系細胞の分化および維持に関わる分子制御機構を明らかにすることを目的とした。 独自に作成した加圧培養装置を用いて,その中で間葉系幹細胞(UE7T-13細胞およびSDP11)を培養し,圧力負荷の環境下での骨芽細胞分化マーカーの発現(BMP2, RUNX2, OSX, ALP)をreal time PCR法を用いて検討を行った。さらに,遺伝子発現を最も誘導した圧力で骨芽細胞へ分化誘導したところ,圧力を付加しない通常の培養と比較し,劇的に骨芽細胞分化を促進させることがわかった。次に,加圧環境下における細胞内シグナル伝達経路の解析をウエスタンブロティング法を用いて解析したところ,MAPKファミリーのERK1/2およびp38 MAPKが有意に活性化することを見いだした。さらに,この圧受容体として,機能する受容体の検索を行ったところ,ピエゾ型圧受容体(PIEZO1)がその役割を担っていることを明らかにした。間葉系幹細胞におけるPIEZO1の発現をsiRNA法を用いて遺伝子の発現抑制を行ったところ,圧刺激によって誘導される骨芽細胞の分化が抑制されることがわかり,間葉系幹細胞の圧刺激による分化にPIEZO1が重要な役割を担っていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り細胞株を用いて至適圧の検索を行った。予想通り間葉系幹細胞は加圧刺激に応答し,骨芽細胞分化マーカーの発現が上昇し,最も遺伝子発現を誘導する圧を同定することができた。さらにその刺激圧は遺伝子発現を誘導するために,細胞内シグナル分子の活性化を引き起こすこと,さらに骨芽細胞の石灰化を促進した。また,圧受容体としてPiezo1の発現を見出すことに成功した。以上のことから当初予定した計画から概ね順調に実験を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の2年間は主に器官培養法および動物モデル実験を計画している。器官培養法については手技手法は確立しているが,加圧培養装置内での培養条件について検討が必要とされる。また,動物実験ではメダカやマウスを用いての実験を計画している。メダカは短期間の飼育条件は問題ないことは確認できているが,長期飼育においては餌の投与経路,水の循環経路の確立がやや困難を極める可能性があり,時間を要する可能性が考えられる。また,マウスモデルについてもこれまで用いられている方法を応用するが条件の設定等要検討課題である。以上より,細胞実験とは異なり,この2年間は予備実験を重ね,確実に進めていきたい。
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Research Products
(3 results)