2017 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織恒常性維持の統合的理解とホメオダイナミクス-歯周治療・診断への新戦略-
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17H04417
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
森崎 隆幸 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (30174410)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (90570292)
藤原 千春 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00755358)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯周組織恒常性維持 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜特異的遺伝子PLAP-1欠損マウス(PLAP-1KOマウス)は、これまでの研究結果から、TLRを介した炎症反応を負に制御する可能性が示唆されている。そこで、マウス上顎第2臼歯の歯茎部に絹糸を結束することで、実験的歯周炎を誘導した。その結果、5-0号の絹糸による強度の炎症状態では、PLAP-1KOマウスと対照群である野性型マウスでは、その歯槽骨吸収量には差がないことが明らかとなった。一方、興味深いことに、8-0号絹糸を用いて弱い炎症状態を惹起した場合、PLAP-1KOマウスにおいて野性型と比較して優位に高い歯槽骨吸収が誘導された。この結果から、微弱な炎症により誘導される実験的歯周炎に対してPLAP-1KOマウスの疾患感受性が高くなっていることが示唆され、PLAP-1の有する抗炎症作用に加え、歯根膜線維の構造や強度の維持に関与している可能性が考えられた。そこで、PLAP-1KOマウス歯根膜における細胞外基質関連遺伝子および炎症性サイトカインの発現をReal-time PCR法により野性型マウスと比較検討したところ、細胞外基質関連遺伝子については有意な発現量の差は認められなかった。一方、IL-1b遺伝子については、PLAP-1KOマウス歯根膜において、有意ではないものの、上昇傾向が認められた。さらに、歯槽骨における破骨細胞数を観察したところ、有意にPLAP-1KOマウスでは、野性型マウスと比較して、破骨細胞数が上昇していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PLAP-1KOマウスを用いた実験的歯周炎モデル解析の結果、当初予定していたPLAP-1の骨吸収抑制作用が、炎症反応の強さにより変化する可能性が見出された。本研究の遂行上、この作用の本質を見極めることが必要であったため、研究方式を見直し、局所炎症部における遺伝子発現解析、炎症状態における細胞機能解析および硬組織関連分子・遺伝子との相関解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
PLAP-1KOマウスにおける歯周病および全身疾患に対する疾患感受性の制御メカニズムについて、PLAP-1が制御していると考えられるTGF-b、FGF-2等のサイトカインシグナルに着目して解析を進めていく。PLAP-1KOマウスにおけるTGF-bシグナル関連分子や遺伝子の発現を免疫組織学的解析および遺伝子発現解析により野性型マウスと比較検討する。さらに、同シグナル関連遺伝子・分子の歯周炎における関与を明らかとするために、実験的歯周炎モデルにおける発現解析を行う。また、PLAP-1KOマウスにおける歯根膜の微小構造における表現型解析を進めることで、PLAP-1の歯周組織恒常性維持機構における詳細な役割を明らかとしていく。
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Research Products
(5 results)