2019 Fiscal Year Annual Research Report
健全な口腔マイクロバイオームとは何か? 代謝的復元力に基づく口腔健康指標の提案
Project/Area Number |
17H04420
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 信博 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60183852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10303132)
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (20250186)
鷲尾 純平 東北大学, 歯学研究科, 講師 (20400260)
坂本 光央 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 専任研究員 (50321766)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔マイクロバイオーム / 代謝活性 / メタボローム解析 / 硝酸塩/亜硝酸塩 / Scardovia属 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、硝酸還元細菌(亜硝酸産生細菌)のもつ代謝的復元作用や、新規齲蝕関連細菌Scardovia属の持つビフィド・シャント代謝副経路に代表されるユニークな糖代謝経路、口腔レンサ球菌や口腔Neisseria属の持つエタノール代謝経路、さらには口腔Veillonella属、口腔Actinomyces属、口腔Neisseria属の持つ硝酸還元経路など、これまで見落とされていた普遍的で重要性をもつ口腔マイクロバイオームの代謝活性とその代謝経路を、新たに「口腔マイクロバイオーム代謝データベース」に加えることができた。 とくに、口腔マイクロバイオームの持つ硝酸塩還元活性によって産生される亜硝酸塩は、糖代謝性細菌による糖からの過剰な酸産生をフィードバック的に制御する作用とともに、歯周病関連菌の増殖を抑制するがあり、口腔マイクロバイオームのpH環境を弱酸性に保つとともに、齲蝕も歯周病も起きにくい状況に保っている可能性が示唆された。このことから、我々が緑黄色野菜などの食物から摂取する硝酸塩が、口腔マイクロバイオームに代謝的復元力を与え、口腔の健康の維持に重要な役割を果たしているものと考えられた。 これまでは、糖代謝による酸産生活性とそれに対応するアルカリ産生活性が注目されてきたが、アルカリ性物質の多くはアンモニア等の細胞傷害性物質であり、歯周病の観点からは好ましくなかった。本研究によって見出された亜硝酸塩産生活性は、齲蝕と歯周病双方を適度に抑制することから、口腔マイクロバイオームの健全化に寄与することが期待されるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は糖代謝、タンパク質・アミノ酸代謝活性とそれに対抗する代謝的復元力を主に対象とすることを想定していたが、硝酸塩/亜硝酸塩代謝活性やエタノール代謝活性、さらには新規齲蝕関連菌Scardoviaのユニークな代謝活性の発見が続き、当初の計画以上に充実した研究に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.口腔マイクロバイオームの「代謝的復元力」の測定と解析 これまでの研究をさらに進め、代謝的復元力を包含する口腔マイクロバイオームの代謝活性に関する「代謝データベース」を完成させる。とくに、これまでの研究で明らかになった硝酸還元細菌(亜硝酸産生細菌)のもつ代謝的復元作用や、新規齲蝕関連細菌Scardovia属のもつユニークな代謝活性、さらにはエタノールの代謝など、これまで見落とされていながら普遍的な重要性をもつ口腔マイクロバイオーム代謝活性を加え、アップグレードを図る。
2.口腔マイクロバイオームの代謝的復元力を基盤とした「新たな口腔健康指標」の提案 これまでの研究を纏めるとともに、代謝的復元力を基盤とした「健全な口腔マイクロバイオーム」論を展開する。口腔マイクロバイオームに基づく新たな口腔健康指標の提案とともに「健全な口腔マイクロバイオームとは何か?」との問いに対する答え(コンセプト)を提示する。
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Research Products
(35 results)
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[Presentation] Metabolomics of Oral Microbiome2019
Author(s)
Washio J, Abiko Y, Dimas Prasetianto Wicaksono, Yamamoto Y, Takahashi N
Organizer
4th Asia Pacific Regional Congress of the International Association for Dental Research
Int'l Joint Research / Invited
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