2019 Fiscal Year Annual Research Report
足ケアが高齢者の歩行・姿勢制御機能にもたらす効果の構造化
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17H04429
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本田 育美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30273204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 君江 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (70709865)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護学 / 高齢者 / フットケア / 身体活動 / 姿勢制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者に提供される‘足ケア’の効果を、足部の状態のほか、身体面での機能性の向上といった運動力学の評価とともに、転倒予防という視点から、日常での生活活動の量および質に関する側面を加え解き明かし、構造化を目指すことである。そこで令和元年度では、①高齢者における測定項目の検討と、②在宅高齢者を対象とした身体機能・足部状態と活動効力感・転倒不安との関連についての縦断的検討(ベースラインおよび1か月後評価)を計画として挙げた。 《測定項目の検討》 前年度収集データをもとに、身体平衡の保持機能とくに静的姿勢ならびに立ち上がり時の重心動揺の安定性・回復性を解析した。足趾の可動性が向上した15名に対し平衡機能に関する評価を行ったところ、一定の傾向性を導きだすことはできなかった。そのため平衡機能を指標する項目単独では、足部の微細な機能変化をとらえるのは難しいと判断した。そのため、介入に伴う変化の評価指標を検討し、足部の皮膚表面温度と可動域の計測を行った。その結果、循環機能に関する足部評価を追加して評価していくこととなった。 《身体機能・足部状態と転倒不安のベースライン+1か月後評価》 令和元年度終了までに、在宅後期高齢者 77名〔男性9名(11.7%),年齢81.9±3.6歳,BMI 23.0±3.61,MMSE 28.2±2.33点,転倒歴あり22名(28.6%),独居44名(57.1%)〕の測定を行った。身体機能として、FRT 32.4±5.60cm,10m歩行時間 8.2±1.94秒,握力(良) 21.7±6.89Kg,足趾筋力(良) 7.8±3.98Kg,1日活動量4,885±2,471歩であった。また、転倒不安では、FES-I 24.2±8.51点,身体活動SE 26.9±9.83点であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度の計画では、①高齢者における測定項目の検討と、②在宅高齢者を対象とした身体機能・足部状態と活動効力感・転倒不安との関連についての縦断的検討(ベースラインおよび1か月後評価)を計画として挙げた。 評価指標としての足部評価法の見直しにより、再検討を要したため、追加のデータ収集に着手する時期に遅れが生じた。前年度に加え循環機能に関する計測法で試みることとし、その他の指標となる足趾機能ならびに転倒不安の側面も含めた測定項目でのデータ収集を行い、計70名余りの対象のベースライン評価および1か月後の状態計測を実施することができた。そのような点から、当初に掲げた年度内の計画よりやや時間的な遅れは生じたが、内容的にはおおむね順調に遂行できていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元度までに収集できたデータの分析として、ベースラインおよび1か月後評価としての一般状態・身体機能および、足の状態と日常生活活動状況についての評価を行っていく。また、足部の状態別にみた身体活動機能や日常生活活動状態との関連について検討を行う。これらの成果については、学会発表等を行っていく。 また、引き続き前年度プログラム参加者の追跡データの収集に取り組むともに、足ケア介入における、歩行・起立動作と姿勢制御能の変化の検討も予定している。在宅高齢者の足状態と身体機能ならびに生活機能評価(身体活動量,転倒不安)との関連について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行っていく予定である。
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