2017 Fiscal Year Annual Research Report
人工知能を活用した遠隔セルフマネジメント教育・支援システムの構築と効果の検証
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17H04439
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加澤 佳奈 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 助教 (10740102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 真康 広島大学, 病院(医), 講師 (30508130)
森山 美知子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (80264977)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慢性疾患 / 遠隔看護 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回、研究者らが長年に亘り構築してきた慢性疾患患者への遠隔看護展開に関する大量のデータ、診療ガイドライン等エビデンスから最適な遠隔看護展開のアルゴリズムを構築するものである。また、過去の遠隔看護展開データおよび遠隔看護経験の豊かな看護師からのヒアリングから潜在化している新しい知の発見を試みる。 平成29年度は、疾病管理を主とする1企業から約1600件の慢性疾患患者に対する保健指導データを取得した。保健指導は、対面指導と電話指導を組み合わせた3~6ヶ月間の自己管理教育プログラムである。データは、テキスト、数値データおよび音声データが含まれる。さらに、この企業、本学に在籍する遠隔看護の経験の豊かな看護師から保健指導展開(患者個人のリスク特性・行動特性の分析、セルフマネジメント教育、行動変容支援、データモニタリング、患者とパートナーシップを構築するコミュニケーション)についてヒアリングを実施した。その後、テキスト、数値データおよび看護師に対するヒアリング結果の分析に基づき糖尿病患者に対する遠隔看護展開アルゴリズムを作成した。 続いて、診療ガイドラインから保健指導時の重症度や重症化リスクアセスメントの判断、文献から行動変容を促すモデル、手法を取り入れた。 以上の結果から、今後人工知能に学習させる、慢性疾患患者に対する重症化予防と行動変容を目的とした遠隔看護アルゴリズム(教師データ)について重要な成果を挙げた。今後の課題は、より行動変容を促し、治療上のパートナーシップ構築に必要なコミュニケーションの部分を強化することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ分析に基づく理想的な遠隔看護アルゴリズムを作成した。平成30年度は、、音声データを用い、行動変容促進、信頼関係構築に効果的なコミュニケーションについて分析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度前半は、これまでに蓄積した遠隔看護の音声データと保健指導データを結び付け、行動変容につながった症例、行動変容につながらなかった症例の会話内容を分析する予定とする。会話内容を分析することにより、遠隔看護を実施した看護師よりヒアリングで抽出されなかった意識化していないコミュニケーションを明らかにしていくことが目的である。この分析の中から、行動変容を促すまたは妨げるコミュニケーション、信頼関係を構築するコミュニケーションを、会話内容、会話ペース等から抽出していく。具体的には、キーワード、対象者を動機づける声かけの内容、会話の間合いの取り方、会話のペース等である。 平成30年度後半は、前半で得た知見を昨年度作成した遠隔看護アルゴリズムに取り入れることにより、さらに患者の動機づけ、行動変容維持を促し、看護師とのよりよい療養上のパートナーシップを構築するコミュニケーションの部分を強化していく。
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