2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a Methodology for Compounded Solutions to Poverty, Education and Environmental Issues by Means of Establishment of Railway Networks
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17H04495
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
曄道 佳明 上智大学, 理工学部, 教授 (50262118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
プテンカラム ジョンジョセフ 上智大学, 経済学部, 教授 (00306987)
小松 太郎 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (20363343)
山崎 瑛莉 上智大学, グローバル教育センター, 助教 (20757257)
宮武 昌史 上智大学, 理工学部, 教授 (30318216)
伊呂原 隆 上智大学, 理工学部, 教授 (60308202)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄道 / 開発 / 教育 / 環境 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アフリカや南アジアなどを中心とした開発途上地域にあって、鉄道を中心とした公共交通ネットワークが発展途上地域の発展へ貢献する具体的方法論を導こうとするものである。すなわち、グローバル社会の形成期にあたり、鉄道ネットワークの形成により、貧困、教育、環境問題を複合的に解決する指針を与えることである。そのために、主に発展途上国を中心として、国あるいは地域レベルによる公共交通ネットワークの構築が交通網の国際化によってどのような影響を受けているかを検証するとともに、持続可能な社会づくりのために必要な交通ネットワークの形成理論モデルを産学官連携のもと構築する。
本研究の目的を達成するために、方法論の構築を目指すとともに、提案する鉄道ネットワークに対する経済効果、雇用の創出などの開発経済の側面からの検証方法を確立する。具体的には、簡易的なモデルケースに対して、導入すべき鉄道技術に関する数例を提示した上で、(a)消費エネルギー、 (b)環境負荷の低減効果、(c)物流促進効果 を測定し、(d)雇用の創出、(e)経済効果の検証過程までを整理、確立することとなる。
研究の3 年目となる平成31年度(令和元年度)は、本研究の目的を達成するために主として次の3つの作業を行った。第一に、方法論の構築のために、ネットワークの形成やロジスティクスについて、先行研究・関連研究のレビューや理論的分析を継続実施した。第二に、数理モデルを検討する際に必要な測定値として、環境負荷の低減効果や物流促進効果を含めていることを鑑み、各専門の個別研究会を実施した。また、第三の研究で実施する調査に必要な社会経済分野における研究会も実施した。第三に、数理モデルの構築に要する要素を抽出するため、鉄道を中心としたインフラの現状を明らかにするための調査を、インド、南アフリカ共和国において実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で示した3つの研究について、進捗状況は以下の通りにある。第一に、持続可能な社会づくりのためのネットワークの形成やロジスティクスについて、倫理的なサプライチェーンの構築から開発途上地域における教育開発の現状分析等まで幅広く行い、知見を得た。技術的側面としては、特に途上国向けに架線がなくかつクリーンな鉄道を構築するための技術に関する研究を進めた。これらの内容については、いずれも具体的なテーマをもとに研究会を開催し、他分野の研究者同士の共通理解を促進することで、モデル構築のための具体的な要素抽出のための議論・研究を重ねることができた。
第二に、開発途上地域における予備調査は、過去2年に続きインド、南アフリカにおいて実施した。いずれも、都市鉄道を中心としたインフラであるが、それぞれの環境や社会経済事情が異なることから、数理モデル構築のために必要な多様な地域特性を検討するための要素を得ることができた。特に、南アフリカにおいては鉄道利用者のインタビューを実施して具体的な成果があげられたほか、現地研究者との連携をとり、より実地に即した情報を得ることができた。本研究内容は、次年度学会発表予定である。
以上の通り、3年目において予定されていた調査や方法論検証のための研究は実施することができたため、概ね行うことができたと考えている。4年目はこれらの研究成果や調査結果をもとに、数理モデルの構築に反映させる議論を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、以下の5つの研究を進めている。すなわち、(1) 関連研究のレビュー、モデル構築のための理論研究、(2) 地域・国レベルの事例研究、(3) モデル検証のためのインフラ開発地における調査(各国政府、鉄道関連業務の従事者、教育セクターなどの関係者、一般市民へ調査など)とその分析、(4) 複合課題に対する数理モデルの構築、(5)モデルの検証と適用評価 を順に計画し、理論解析、実地調査、評価である。
これらの研究について、今後も進めていくことが基本的な方針である。ただし、新型コロナウィルス拡大の影響で次年度の現地調査が困難であることが予想されるため、事例研究についてはこれまでの成果をまとめ、学術発表で発信していくことに注力する。そのうえで、各分野の連携による数理モデルの構築をさらに進めていきたい。
そのために、以下三つの研究を実施する。第一に、関連研究のレビューやモデル構築のための理論研究は引き続き進めていく。第二に、地域・国レベルの事例研究について、これまでの成果やデータをまとめ学術発表する。具体的には、インド、南アフリカ、エチオピアである。インドではインフラの経済効果そして環境への影響を中心とした調査を行い、現地協力者とともにデータ分析を実施する予定である。また、南アフリカやエチオピアにおいては、歴史的・社会的背景が複雑で多様な状況のなかで、インフラ構築が教育に対してどのようなインパクトを持つか、という視点でデータをまとめ、分析を行う。第三には、理論研究や調査を通して得られる具体的な知見を参考にしながら、数理モデル構築の検討、とくにネットワークの評価手法についての検討を深めていきたいと考えている。
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Research Products
(22 results)