2019 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上にあるモンゴル国の子どもの身体発育加速化現象とスポーツ医科学の学術調査
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17H04499
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
橋爪 和夫 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (80189472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 比呂志 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00217639)
坂本 雅昭 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10187049)
井上 邦子 (松田邦子) 奈良教育大学, 保健体育講座, 准教授 (40278239)
中澤 理恵 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (40455952)
大森 聡 富山短期大学, その他部局等, 准教授 (90587049)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モンゴル国 / パラリンピック / スポーツ医学 / 発育発達 / 文化人類学 / 体力 / 生活健康 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的はモンゴル国の子どもの体格・体力・運動能力・生活健康の縦断的調査とオリンピック・パラリンピック調査である。本年度は、縦断的調査を実施し,9月にモンゴル国体育文化スポーツ機関職員CHOYONDORJ BAZARSUREN女史を日本に招聘した。女史は日本武道学会で視覚障害者柔道の指導法について発表し、日本体育学会でモンゴル国のパラリンピック柔道の発展と多文化共生社会形成の関係性について発表した。本研究により、モンゴル国の障害者のダイバーシティがBAZARSUREN女史の履歴にあるオリンピックとパラリンピックの両選手育成というハイブリットにより推進されていることが報告された。 モンゴル国ではスポーツにおける障害が多発している。群馬大学の坂本教授と中澤助教とモンゴル国立医科大学の教員が柔道におけるスポーツ障害について報告した。モンゴル国ではスポーツ障害の発生において障害者自身が弱かったからだという考え方があり、スポーツ医学による科学的根拠に基づく原因の把握を行い、スポーツ障害の予防につながる調査報告がモンゴル国研究者との共同研究で推進できた。 奈良教育大学の井上准教授はウランバートル・およびウブト県で、民族舞踊(ビー・ビルゲー)に関する調査を行った。国立高等音楽・舞踊学校教員や国立教育大学でモンゴル国西部に残る伝統的民族舞踊の原初形態についての聞き取り調査をした。それによって、都心部で実演される民族舞踊とモンゴル国西部地域において伝承される民間舞踊との差異および、少数民族の舞踊の特徴についての知見を得ることが出来た。加えて、モンゴル国西部地域ウブス県でモンゴル民族舞踊伝承者から実際の舞踊を実施してもらい、映像資料とした。 栄養調査は中学2年生と柔道選手について実施した。その結果、総じて摂取量が少ないこと、特に、ビタミン類やカルシウムの少なさもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初目的の大半は調査している。 目的の一つである子どもの遊びに関する調査とスマートフォンなどを用いたインターネットの使用の実態に関する調査が遅れている。これらの情報教育に関する調査は2020年度に計画を立てて調査をする予定である。 パラリンピックに関する研究は順調に進んでいる。ただ、選手発掘事業に関する調査研究はモンゴル国民の民族性(自分のエリアは自分で責任を持って管理する)との関係性もあるので、独自の発掘方法を検討することとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究4年次(2020年度)は初年度からの調査対象者の4年目の継続的調査を行う。調査項目にできるだけ、インターネットに関する情報機器関連項目を追加する。 モンゴル国のオリンピック・パラリンピックに関する調査で、モンゴル国研究者とのスポーツ医学の共同研究を始める。 スポーツ医学の領域ではスポーツ障害に関する調査において栄養との関連性を検討する。 これまでの研究をまとめて、最終年度となる2021年度にモンゴル国で国際学会の開催を企画するための準備を行う。また、モンゴル国文部科学省からの依頼である、本研究調査の成果をモンゴル国の学校の体育教員に報告する機会を設定する準備を行う。 本研究はモンゴル国研究者と日本の研究者の個人間の連携研究であるが、これまでの成果を踏まえた大学間及び2国間の調査研究課題への設定に関する協議も推進する。
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