2017 Fiscal Year Annual Research Report
Typological study of syntactic structures in Siberian languages: Focusing on subordinate clauses and clause linking
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17H04521
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永山 ゆかり 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教 (20419211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 郁 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・対照研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (70401445)
小野 智香子 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 特任研究員 (50466728)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語学 / 記述言語学 / 統語論 / 統語情報 / アノテーション / 古アジア諸語 / サモエード諸語 / シベリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シベリアで話されている古アジア諸語ならびにサモエード諸語に属するアリュートル語・コリヤーク語・イテリメン語・コリマユカギール語・セリクープ語を対象とし、シベリア諸言語の統語法、特に従属節の内部構造と節連結に関する通言語的研究を進め、この地域の地域類型論の深化に貢献することを目的とする。 平成29年度は研究実施計画にしたがい、メンバーがそれぞれの対象言語に関する調査研究を行った。代表者の永山ゆかり(北海道大学)は平成29年8月に24日間、ロシア連邦カムチャッカ地方ペトロパウロフスク・カムチャツキー市ならびにパラナ村で、アリュートル語およびコリヤーク語の方言調査、新たな録音資料の収集、過去に収集した資料の整理・分析ならびに文法調査を行った。また、平成29年12月および平成30年3月にロシア連邦サンクト・ペテルブルグにおいて20世紀前半に収集されたアリュートル語の未刊行資料の文献調査を行った。長崎郁(国立国語研究所)は2017年7月24日から8日間、ならびに2018年1月16日から9日間、ロシア連邦トムスク州トムスク市および同州パラベリ村で母語話者の協力を得て、セリクープ語ナリム方言のテキスト資料の整理を行った。小野智香子(千葉大学)は2017年7-8月に28日間、ロシア連邦カムチャツカ地方チギリ村にてイテリメン語のフィールド調査を行い、新たな録音資料の収集、過去に記録した録音の書き起こし、文法の調査を実施した。 平成30年3月に研究会を開催し、従属節の構造に関する問題点を整理し、アリュートル語とイテリメン語の統語構造の類似性を明らかにした。また、電子化した言語テキストデータに統語情報を付与するための方法論について意見交換を行った。 それぞれの研究成果は国際学会での口頭発表や国内の学術雑誌の論文として発表した。また、セリクープ語のロシア語対訳付き資料を報告書として刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は(1)アリュートル語・イテリメン語・セリクープ語の3言語につきフィールドワーク、(2)20世紀半ばに記録されたアリュートル語ならびにコリヤーク語の文献資料の調査、(3)国内研究会の開催、(4)国際ワークショップの開催、(5)アリュートル語およびセリクープ語の言語資料の刊行を予定していた。そのうち(1)については予定していた3言語に加え、コリヤーク語のフィールドワークを実施することができた。(2)については第1回目の調査で期待していた以上の大量の未刊行資料(I.S.VdovinおよびS.N.Stemnickijによる)が発見されたため、急遽第2回目の調査を実施することとなった。そのため(4)の国際ワークショップおよび(5)のアリュートル語の資料刊行を次年度以降に延期した。(3)国内研究会および(5)のセリクープ語資料刊行は研究計画どおりに実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、古アジア諸語およびサモエード諸語の統語情報についてメンバー全員が調査研究を遂行していく。とくに、今年度の研究で明らかになったアリュートル語とイテリメン語の統語構造の類似性につき、永山・小野が共同研究を進める予定である。 また、長崎がユカギール語について作成した統語アノテーション付与のシステムをメンバー全員で共有し、対照研究の方法論につき引き続き研究討議を進める。 さらに、研究成果を学会発表・論文・報告書などとして順次公開する。
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Research Products
(8 results)