2018 Fiscal Year Annual Research Report
宋代古墓調査にもとづく伝統中国の社会・家族・ジェンダーの歴史的研究
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17H04525
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐々木 愛 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (00362905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 裕司 常葉大学, 外国語学部, 教授 (10242794)
小川 快之 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (10400798)
大澤 正昭 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (30113187)
石川 重雄 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50636678)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アジア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年12月22日~27日に中国現地調査を行い、本科研の代表者・研究分担者全員の連名にて「浙江西部・福建北東部歴史調査報告―宋代古墓を中心として」(『東京大学経済学部年報』第八号掲載)として調査詳細を報告を行った。 今年度の調査地は衢州市―江山市―浦城県―政和県―福州市であり、調査した宋墓は李氏夫人墓、真徳秀墓、朱森墓、程夫人墓、朱セイ墓、黄干墓の6箇所である。これら6箇所の墓の調査から明らかに出来たのは、これまで江西~福建地域の調査から明らかになったこととほぼ同様の結果であり、夫婦合葬墓はかなりまれで、夫婦別葬が基本的な形であることであり、従来より定説となってきた滋賀秀三『中国家族法の原理』と相反する事象であった。また、いずれの墓についても、その立地が風水思想の強い影響下にあることがみてとることができるものであり、夫婦別葬という選択の背景に風水があることも想定された。 また、現在、著名な宋人の墓を大規模に整備して一族の結集をはかろうとしたり、あるいは地域興しの中核にすえようとしたりする事業が、現在まさに行われていることについても、昨年同様に明らかにすることができた。 以上の調査の結果を踏まえ、連携研究者を含め、代表者分担者計6名全員で集合し、これまでの研究の総括を行った上で、今後の調査計画について議論を行った。その結果、今後は比較検討のため、北方諸地域での調査が必要であること、また調査対象の時代も広げた考察も必要であると総括し、次年度以降の調査計画を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた現地調査を浙江省~福建省において実地することができ、また年度内に調査報告書を発表することができた。調査を通して、斯界の名著である滋賀秀三『中国家族法の原理』とは異なる事象が宋代当時の中国南方で広がっていることについて、昨年度調査に引き続き明らかにすることが出来たことで、中国家族史研究に与える影響も大きいものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
宋代当時、浙江~江西~福建の諸地域では、墓葬慣行についてほぼ同様の事象が見られたことが推定される。これら諸地域における未調査地域における現地調査を今後も継続する一方で、北方諸地域との比較研究および時代の射程を広げた調査研究が今後必要であろうということになった。この総括を踏まえて次年度以降の調査地や調査対象を決定する。
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Research Products
(1 results)