2017 Fiscal Year Annual Research Report
International Comparative Study on Management, Curation and Ownership of Indigenous Archaeological Heirtage
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17H04530
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 博文 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 教授 (60333580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宏之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50292743)
石田 肇 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70145225)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 先住民文化遺産 / オーストラリア・アボリジニ / 文化遺産返還 / アイヌ文化遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年度である平成29年度は、オーストラリアにおける先住民文化遺産と考古文化遺産の保存・管理に関する実情に関する資料収集を行うとともに、9月に現地調査を行った。また2月にオーストラリアの研究者を北海道大学に招へいして、オーストラリアにおける先住民文化遺産をめぐる課題についての研究会を札幌市と平取町で開催した。 オーストラリアの現地調査では、メルボルンにある国立ヴィクトリア博物館と、キャンベラにあるオーストラリア国立博物館を訪問してオーストラリアにおけるアボリジニの文化遺産の保存・管理の現状を調査した。またそれぞれの博物館の資料管理担当者へのヒアリングを行い、先住民文化遺産をめぐる課題共有を図った。 2月のオーストラリアの研究者を招へいしての研究会では、世界各地の博物館に所蔵されているオーストラリア・アボリジニの遺骨や文化遺産の返還をめぐる取り組みについての詳細な報告が行われた。これらの文化遺産や出土文化財が海外へ流出した背景には、植民地宗主国であったイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国の大学研究機関とのネットワークがあることが明らかにされている。またこのネットワークには、海外留学経験のある日本人研究者も参画していることが明らかとなった。 オーストラリア側で進めている先住民文化遺産に関するデータベース作成に日本側としての協力を求められ、これについて対応することを検討している。 本年度の研究成果に関しては、国際的な文化遺産の返還に関する報告書を刊行するとともに、先住民文化遺産に関連する論考や取り組みを紹介するレポートを日本語と英語で刊行した。加えてオーストラリア側で計画している返還に関する各国の動向を紹介するレポートを共同で製作することが確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オーストラリアの博物館にもアイヌ民族の文化遺産が保管されていることが、オーストラリア側の研究者から提供された情報で明らかとなった。当初の事業計画で想定した以上に、先住民の文化遺産をめぐる課題は、オセアニアに限らず、北米や北欧諸国でも議論が進んでおり、関心が高いことが本研究を通じて明らかになっている。 国際的な共同研究の必要性を求める研究機関や研究者グループからの連携を求める申し出が寄せられており、本事業期間において想定以上の成果が期待できる
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Strategy for Future Research Activity |
オーストラリアにおける現状については、調査報告と研究会概要を含めた報告書を刊行することで広く共有をはかる予定である。先住民文化遺産は、19世紀から20世紀にかけてヨーロッパ諸国を中心に主要な博物館に所蔵されていることが明らかとなっている。それらの歴史的収集経緯を明らかにすること。また所蔵・保管されている資料が各国においてどのような法制度の下で管理されているのか、また現状で抱えている課題について詳細なデータを集めていく予定である。 また本研究を通じて新たに構築された研究ネットワークを、引き続きどのように活用していくのかについても、海外の研究協力者との間で検討を進めていく予定である。
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Research Products
(10 results)