2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H04538
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
シン ジルト 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (00361858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波佐間 逸博 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (20547997)
宮本 万里 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (60570984)
田村 うらら 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (10580350)
地田 徹朗 名古屋外国語大学, 世界共生学部, 准教授 (10612012)
井上 岳彦 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (60723202)
上村 明 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (90376830)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 牧畜 / エスニシティ / エコロジー / 集団観 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、計画していた海外におけるフィールドワークは実施することが困難になり、メンバーたちは文献研究ならびにこれまでフィールドワークで得られた音声や映像データの書き起こしと分析作業を進め、そして、科研の中間成果公開に向けたデータの整理作業を重点的に実施した。 まず、文化人類学的な側面からは、近年台頭してきた「存在論」的なアプローチを学説史において位置付けながら、「牧畜」という生業に着目することの重要性を再検討した。そして、歴史学的な側面からは、近代以降、牧畜社会の変遷やその多様化についてマクロな視点からレビューしながら、アフロ・ユーラシア大陸における牧畜の共通性についてミクロな視点から把握した。さらには、動物との関係としてのエコロジーがいかに人間との関係としてのエスニシティを形づくるか、エスニックな関係がいかに人間と動物とのエコロジカルな関係を改変しているかに焦点を絞りつつ、図書の編纂に努めた。 具体的には、文化人類学の専門研究図書として『オイラトの民族誌:内陸アジア牧畜社会におけるエコロジーとエスニシティ』(シンジルト著、2021年3月、明石書店)を刊行するとともに、文化人類学と歴史学的なアプローチを融合させ、大学生を読者に想定した一般学術図書『牧畜を人文学する』(シンジルト・地田徹朗〔編著〕、2021年3月、名古屋外国語大学出版会)を刊行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年6月6日~7日、年度研究会を開催し(オンライン形式、分担者井上が所属する大阪教育大学主催)、当年度における研究計画を視野に入れた研究発表を行った。外部講師として京都大学の楠和樹氏、関西学院大学の中野歩美氏、早稲田大学の秋山徹氏などの若手研究者を招聘し、生態史からみるアフリカ牧畜社会における植民地統治、姻戚関係からみるインド移動民の集団性、社会史からみる中央アジア牧畜社会の属人的集団観、といった主題で講演を行っていただいた。これらの外部講師たちは本科研の展開に積極的に関わっていただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、定例の年度研究会を開き、各メンバーの研究発表を行い、異なる地域の事例を比較し、チーム内での議論を活性化させる。そして、外部講師として、本科研メンバーと異なるアプローチで牧畜民を研究する歴史研究者や人類学者を招き講演してもらい、科研全体の視野を広げ、議論の精度を高めていく。それから、これまでのフィールドワークで得られた画像データや映像データを充分に活かしながら、牧畜の視点から人類の歴史と現在を捉え直すべくビジュアルな成果物を刊行する。
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[Book] 牧畜を人類学する2021
Author(s)
シンジルト・地田徹朗(編著)
Total Pages
251
Publisher
名古屋外国語大学出版会
ISBN
978-4-908523-29-8
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