2018 Fiscal Year Annual Research Report
NATO and Humanitarian Intervention; Thought, Theory and Reality
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17H04544
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
福富 満久 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90636557)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NATO / 軍事介入 / 安全保障 / 中東 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の本研究に関する業績として、東洋経済新報社から書籍『戦火の欧州・中東関係史―収奪と報復の200年』を2018年5月11日に刊行した。中東と欧州のこれまでの歴史的経緯をふまえ、戦争やテロに関して原因や背景を分析した。 学術論文としては、2019年3月に「「軍事介入の論理」NATOと中東―欧州の外と内にある敵」日仏政治学会編『日仏政治研究』 第13号を発表した。これは、2018年8月に日仏政治学会で「マクロン大統領と中東政策―マクロン政権の1年を検証する」で発表した内容を論文にしたものである。欧州がどのように中東に軍事的に関わるようになったのか、フランスはどのような立場を取っているのか、軍需産品の輸出なども含めて明らかにした。その他講演では、「環地中海地域としての中東」(第1回中東講演会)として 2018年9月に国際協力機構(JICA)で職員向けに中東情勢について、欧州との歴史やかかわりを中心に講演した。 その他、 ①「揺れる世界秩序「キングメーカー」ロシアの企図 過去最大の極東軍事演習 新冷戦とドル・原油・金」『エコノミスト』, 毎日新聞出版株式会社, 2018.11.27 ②「2018年世界経済下期マーケット予測 米国のイラン核合意離脱「核開発」競争の現実味」『エコノミスト』, 毎日新聞出版株式会社, 2018.7.3 ③「「中東の憎悪」がなぜか欧州に向かう根本理由 戦火の「欧州・中東200年史」から読み解く」『東洋経済ONLINE』, 東洋経済新報社, 2018.6.8 ④「経済教室 混迷深まる中東(下)国際法運用に「大国の論理」」『日本経済新聞』, 日本経済新聞社, 2018.6.5朝刊 を寄稿した。これらの研究成果は、当プロジェクトを通じて得られたもので、中東の混迷がいかに現代社会に影を落としているかを論じたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ますます流動化する国際秩序と欧米の安全保障枠組みであるNATOが紛争などの問題にどのように対処しようとしているのか、について明らかにしようとする試みだが、書籍、学術論文、学会、講演、寄稿・新聞等でこれまでの情勢や分析を発表できたことから、おおむね順調に進んでいると認識している。特に、2018年5月に東洋経済新報社から刊行した『戦火の欧州・中東関係史』は、欧州と中東関係を取り扱った国際政治学の学術書としてはじめてのものであり、日経新聞などに書評で取り上げられるなど、社会への貢献も研究助成のおかげで果たすことができているのではないかと自負している。学会でも成果の一部を発表することができ、満足している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は、当初から計画し研究計画でも申請していた通り、在外研究年にあたる。本年9月より1年間在外研究に入る。研究先は英国ロンドンにあるキングス・カレッジ・ロンドンの戦争学研究科である。戦争学研究科は、世界で唯一戦争に関して包括的に研究・教育を行っている世界的機関であり、本研究をこれまで以上に加速させていく。ワークショップを企画・講演したり、また地理的近接性を活かして、博士課程時に所属したパリ政治学院などやNATOの本部があるベルギーのブリュッセルにも通いながら、資料収集はもとより意見交換を通じて人脈形成も行う。 軍事介入に関して、計量分析の手法も取り入れながら研究を精緻化して英語で論文発表を行う。
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Research Products
(4 results)