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2019 Fiscal Year Annual Research Report

市場経済形成期における地域的共同性の社会経済史的研究─日本・バリ・タイの比較研究

Research Project

Project/Area Number 17H04554
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

長谷部 弘  東北大学, 経済学研究科, 教授 (50164835)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywordsバリ観光蚕業 / 上塩尻 / 村落社会 / 市場経済化 / 観光資本主義 / アダット / 共同性 / スバック
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、前年度に引き続き、国内村落調査として上田上塩尻村を、海外調査としてバリ北部および南部の村落調査を行った。
1)国内調査については、上田上塩尻村に残された村落史料について、昨年に引き続き藤本蚕業歴史館の所蔵文書の調査と撮影を行った。これによって、近世期から明治初期にかけての上塩尻村の蚕種市場および地方金融活動(永続講)と村落および地域的共同組織との関係についての実態分析が可能となった。これらの資料調査に基づく研究成果は、『近世日本における市場経済の形成と共同性(仮題)』として刀水書房から2021年に出版刊行予定である。
2)海外調査については、2019年の6月、11月、12月、ならびに2020年2月の四回にわたってインドネシア共和国バリ州の村落調査を実施した。具体的にはブレレン県サワン区のスクンプル村、サワン村、ベベティン村、スダジ村の4つの村々について慣習村(アダット)および行政村(ディナス)、スバック・スバカビアン組織、そして村落観光開発の実態について、関係者からのヒアリングを実施すると共に、村内に残されたアウィッグ・アウィッグ(村内規約)やモノグラフィ(歴史と現況をまとめた村誌)といった資料の閲覧と撮影を行うことが出来た。また南部ギャニアール県ウブド区内の観光関連事業者と県文化局調査を行い、村落と観光業の関連に関する実態についての情報と資料を獲得することが出来た。3月に現地協力研究者と実施を計画していたアンケート調査はコロナ新型肺炎パンデミックのため、残念ながら実施できなかった。
3)国内上塩尻村の研究成果については2021年の出版を予定しており、海外バリ州の研究成果については、海外協力者のイカデ・アンタルティカ氏(ガネーシャ教育大学)が、9月にフランス・パリで開催されたヨーロッパ農村史学会と11月に日本で開催された 日本村落研究学会において成果報告を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の概要に記したように、国内の調査研究に関しては地域的共同性と市場経済化に関する資料について予定していた調査予定をほぼ達成し、現在研究成果の出版刊行のための検討と論文執筆に取り組んでいるところである。また、バリ島の村落および農村地域に関する予定していた調査については、サワン区内の主要村落に関するヒアリングと記録資料に関する多くの情報とデータを蒐集することが出来た。特にアダットとダディア内の詳細情報を蒐集することによってその現状を深部において明らかにすることができた。
さらにバリ州南部観光産業とのかかわりをさぐるためにギャニアール県ウブドの村落調査を実施したが、同時に実施した県文化局調査によって、これまで中央政府の公開情報によっては不明瞭だったバリ州観光開発政策の内実と全容が明らかとなったことは大きな成果であった。

Strategy for Future Research Activity

2020年3月に実施予定だった村落アンケート調査は、新型コロナ肺炎パンデミックによって実施不可能となり、今後も実施の見通しがたたないことが課題として残る。しかし、このアンケートは小規模であり補完的な位置付けであるため、若し次年度に実施が叶わなくても、上記のようにこれまで三年間にわたって実施してきた調査研究の実績によって得た多くの関係情報とデータを利用することによって、初期の目的に適う分析を進める事が可能である。結果として本来の日本、タイ、インドネシア・バリの共同性比較研究という目的は、ほぼ達成可能であろう、という見通しを持っている。
最終年度の次年度には、パンデミック下の厳しい制約環境の中でではあるが、現地の研究者の協力を得ながら、種々工夫しつつ比較研究の成果をカンファランスのようなかたちで公にする予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2020 2019 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] ガネーシャ教育大学(インドネシア)

    • Country Name
      INDONESIA
    • Counterpart Institution
      ガネーシャ教育大学
  • [Journal Article] 昭和の大合併以降の地方都市における自治会の変容過程-上田市上塩尻自治会の事例2020

    • Author(s)
      佐藤 康行
    • Journal Title

      国際比較研究

      Volume: 16 Pages: pp.21-56

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Organization and activities of neighborhood association in contemporary Japan: a case study of Kamishiojiri Jichikai, Ueda City2019

    • Author(s)
      佐藤 康行
    • Journal Title

      新潟大学大学院現代社会文化研究科紀要『記述と説明』

      Volume: 第1巻 Pages: pp.1-31

  • [Presentation] Functional Change of Subak Irrigation Association in Northern Island of Bali and Its Problems: Case study at Sawan District, Buleleng Regency2019

    • Author(s)
      I Kadek Antartika
    • Organizer
      Conference of European Rural History 2019, Paris
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] バリ島における商業的農業の展開とスバック組織の変容2019

    • Author(s)
      イ・カデ・アンタルティカ
    • Organizer
      日本村落研究学会 第67回大会
  • [Presentation] 近世上田領上塩尻村の人口-婚姻と養子に注目して-2019

    • Author(s)
      村山良之・高橋基泰
    • Organizer
      東北地理学会2019年度春季学術大会(東北大学)

URL: 

Published: 2021-01-27  

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