2018 Fiscal Year Annual Research Report
長期に渡る戦争による反復的Trauma体験が後年の心身に及ぼす影響に関する調査
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17H04566
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
文珠 紀久野 山梨県立大学, 看護学部, 名誉教授 (70191070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦野 環 聖マリア学院大学, 看護学部, 准教授 (00352352)
小尾 栄子 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (80369503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 戦乱・紛争 / 反復的Trauma / 援助者養成 / 戦争被害者 / 心理援助方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『紛争が紛争国の住民に長期に渡って与える影響を心身両面から明確化し、有効な対応策を見いだし、今後紛争が生じないようにするための予防策を見いだす』ことである。本年度の目的の1つは、長期に渡る戦乱・紛争時に受けた反復性のTraumaの様相を明らかにすることである。目的2は、現在の国民の健康面、心理面を中心とした現状を把握し、過去に受けたTraumaの様相と最近頻発している種々の問題との関連を分析検討することである。対象国は、東ティモール民主共和国である。2018年度は、強いTrauma経験者への調査として、山岳地域にあるSame市において、20歳代から80歳代までの男女20人に調査を実施した。ほとんどの対象者は、学校教育を受けることが出来なかったため文字の読み書きが困難であった。そのため、「Life History Line法(LHL法)」の代わりに、一人一人に対し、生まれてから現在に至る状況を面接によって聴取した。また、風景構成法を用いて内的状況の把握を行った。さらに、健康面に関して、BMI、血圧測定を実施した。 支援者養成のためのワークショップを3回実施し、援助者自身が抱えているTraumaを明確化するとともに、人が変容する要因を検討し、Trauma軽減を図るための演習を実施した。精神科クリニックのスタッフ対象に、箱庭療法に関しての研修を行い、Therapistとしての資質向上を図った。 健康面については、肥満と高血圧の危険性が示唆された。心理面においても過去の心的外傷の残遺と思われる問題が残存していると思われた。内的な空虚さと悲哀感が際立って見られたこと、独立後の生活状況―とくに経済的な問題と子供たちへの教育問題への不満が強くみられた。ワークショップを通した援助者養成プログラムは有効であるとともに、援助者相互の関係形成に貢献していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施できるようインタビューと箱庭制作のための部屋が整備され、安全で安心できる状況での調査が行うことができている。現地での研究への協力体制が構築されていることで、スムーズな調査が実施できている。さらに、現地で戦争Traumaの解消を目指している支援団体のAcbit,および精神科クリニックであるPRADETとも研究協力を得ることができ、研究は順調に進めることができている。 研究を行う上での対象者へのアクセスについて、研究協力者(文珠幹夫、中村葉子)の尽力によって、順調に実施できている。昨年度検討した個別インタビュー方法と風景構成法が有効に活用できている。通訳においては、中村葉子氏、松村優衣子氏の協力が得られ、調査はスムーズに実施できている。 援助者養成のために、1日ワークショップを実施するに当たり部屋も準備され、参加者への連絡も問題なく行えている。さらに、精神科クリニックスタッフ対象の研修では、精神科クリニック内の会議室を借りて実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度においては、個別インタビューの対象者を広げ実施する予定である。特に、1975年以降の紛争時に、過酷な体験をしたと言われる地域の住民(20歳代から70歳代の男女)への調査を実施する予定である。首都のDili,特に戦争被害の大きかったSame市,山岳地域のOssu市、西部地域のBazartete市において、調査を拡大して実施する予定である。さらに、2018年度に研究協力を得たAcbit(戦争被害者支援の団体)とPRADET(精神科クリニック)に参加している戦乱被害者への調査を行う予定で、準備をしている。支援者育成のためのワークショップは、複数回開催する計画である。内容としては、心理援助を実施するうえで欠かせない心理学の基本の知識と援助スキルの演習、特に、面接技法の演習、箱庭療法を含めた種々の心理療法の理解を中心としたワークショップを実施する予定である。 東ティモールで心理学のジャーナルが発刊される予定となっているとの情報を得たので、それに投稿し、戦乱被害者支援のあり方を検討したいと考えている。 健康面の調査を担当してきた小尾栄子(研究分担者)が学内における看護学実習によって非常に多忙となったため、研究分担者から外れることとなった。研究分担者である秦野環がその代行を行うことによって、研究体制に支障は生じない。
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Research Products
(2 results)