2017 Fiscal Year Annual Research Report
教育技術移転アプローチによるインドネシア会計教育基盤の形成
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17H04571
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
齋藤 雅子 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (00434788)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際会計 / 会計教育 / グローバル人材育成 / インドネシア / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたる平成29年度については、インドネシア国内の複数地域におけるフィールド調査を実施するにあたり準備を進め、大学生等を対象に簿記・会計スキルを測定する調査を複数の地域で実施した。本研究課題の遂行にあたっては、現地研究者並びにわが国連携研究者の協力を得て円滑な調査が行えるよう、調査項目の具現化、必要な資料収集等を行うとともに、訪問先の選定及び依頼を行った。 その際、インドネシアが島嶼国家であることを踏まえ、またインドネシア全土に3,000を超える大学がある点を考慮し、より効果的な調査結果を得る目的において、可能な限り多くの地域を訪れることができるよう、訪問地を選定した。調整の結果、4つの島(ジャワ島、バリ島、スマトラ島、カリマンタン島)のそれぞれ一部の地域ではあるが、地域別特徴を把握・分類を行う前提のもと複数回に分けて調査を遂行するとともに、現地教員らと簿記・会計教材やカリキュラム等に関してヒアリングを行った。 調査実施は主に当初の研究計画どおり平成30年2月前後とし、日程を調整した。また11月に本研究課題に関連する成果報告を行うべく、応募申請していた国際学会の自由論題報告がアクセプトされたが、その開催地がインドネシア・バリ島であり、地理的特性を把握する有効な機会であることから、調査実施に向け同島の私立大学に対して調査受け入れを依頼し、承諾を得た。 インドネシアにおける調査遂行と並行して、わが国の連携研究者と協力して、初学者向け簿記教材の近年の傾向について分析を行ったほか、簿記教材の変遷について検討を始めた。なお、初学者向け簿記教材の傾向分析については、本年度末時点で成果発表できる段階にあり、すでに研究2年度の平成30年度に開催予定である国内学会報告へ向け応募を行うなど、研究計画に沿って着実に調査実施及び成果発表の活動を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画において概ね予定していたとおり、複数回に分けバリ島、スマトラ島並びにカリマンタン島の大学を少なくとも1大学は訪問し、大学生のスキル測定のための調査を遂行できた。活動にあたっては、現地研究者の全面的な協力により、各大学へ受入協力を打診し、承諾を得たが、島嶼国家であるインドネシアの地理性を考慮し、かつ効率的な訪問日程を計画するため、実際には訪問大学を選定することにした。 訪問に際して、現地教員らと教材や授業内容、学生の状況等について議論を交わした他、ワークショップの講師として教員の国際研究活動に関するプレゼンテーションを行う機会をいただき、調査分析に有効なサンプルを入手すると同時に、学術貢献を行えたことも評価に値する。本調査活動を広げることによって、さまざまな地域の研究者とのネットワーク構築につながり、本研究をよい方向で今後も進めていく上で意義のある訪問となった。 加えて、わが国での活動としては、若手連携研究者2名と協力し、簿記の基礎教材の傾向を探り、また歴史的変遷を整理するといった活動を進めた。それらの活動で得た知見を来年度の学会発表を目指すべく取り組んでいる。なお、当該連携研究者からは平成30年度より研究分担者として本研究課題の遂行に協力を得て、次年度以降研究計画を万全な組織体制でのぞめる準備を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度(研究2年度)については、研究初年度に実施したインドネシアにおけるフィールド調査や教育的実験の有効性を高めるべく、各島々の地域を拡大する計画である。具体的には、平成30年8月~9月頃に調査未着手である地域に立地する複数の大学や研究機関で調査を実施できるよう、現地の大学や研究者らに協力を依頼する。研究代表者、研究分担者並びに現地研究協力者と連携し、すでに入手したサンプルの分析を進めているが、本年度の現地調査が完了した段階で総合的な分析を行う。 年度末までには、調査分析により得た結果を生かし、モデル教材案策定に向けた活動へとつなげていく予定である。検討にあたっては、本研究課題の目標が、インドネシアだけでなく、わが国においても普遍的に活用しやすい教材開発を最終的な目標としていることから、両国における教育・文化面並びにビジネス慣習のちがいを考慮しなければならない。そこで、わが国の大学生に対する簿記の理解度把握を目的とする調査の必要性と想定される効果について検討し、実際に調査実施可否を決定する。調査遂行にあたるインドネシア特有の事情として、インドネシア国内の交通手段や安全確保といった点があり、現地研究者と連絡を密に取りながら、効果的な訪問となるよう、適宜計画を見直すことを念頭においている。 また本研究計画においては、活動計画を充実させる目的で、段階的に活動成果を学会等で公表し、活動に対する様々な意見やコメントを得たいと考えている。研究初年度から着手している活動の成果発表に向け着実に進めていく予定である。第一に、わが国における簿記・会計教材の基礎教材に関する特徴について考察を行っており、成果として執筆した論文をすでに国内学会での報告へ向け準備を始めている。第二に、簿記・会計教材の史的変遷に関する検討を始めており、考察を踏まえた学術論文を今年度中に成果として発表できるよう進める。
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