2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehending area's context and proposal of improvement in informal settlements in Accra, Ghana
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17H04594
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木多 道宏 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志摩 憲寿 東洋大学, 国際学部, 准教授 (90447433)
岡崎 瑠美 芝浦工業大学, 建築学部, 講師 (90780792)
土田 寛 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00625353)
中島 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30345079)
下田 元毅 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30595723)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非正規市街地 / 地域文脈 / 持続的改善 / 自律的コミュニティ / まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度から継続している社会・空間構造調査の一環として、Abese地区における衛生環境の実態調査と、屋外環境の維持管理に関する調査を実施した。北街区では、主要街路に自治組織(伝統コミュニティ)によって暗渠の下水管が敷設されている。下水管沿いに共用のトイレとバスルームが設置され、クラン(父系血縁集団)ごとに衛生環境が良好に維持されていた。南街区では、一部に自治組織が敷設した暗渠型の下水管があるが、地面に溝を掘っただけの掘削型開渠、もしくはブロック等により形成された簡易整備型開渠などが大半であり、地中への下水の浸透や臭気など、衛生面の問題があった。トイレからの排水は1カ所の公共汚水槽と住民が個々に整備した下水管に接続されているが、ほとんどのトイレでは排水を取らず、薬剤処理がされていた。分布に偏りがあり、夜中に子どもが15分歩いてトイレに行くなどの問題が生じている。また、バスルームの排水は、バケツに溜めたものを人力で近くの排水溝に捨てに行く方式が多く、非常に労力のかかるものであり、人々は強く改善を望んでいる。 北街区の街路は自治組織により舗装が進んでおり、清掃活動による管理状態も良い。南街区は自治組織の運営が及んでおらず過半が未舗装であり、清掃もされていない。ただし、複数の箇所で舗装と清掃が見られ、街路単位での社会組織の形成の芽生えもうかがえる。 まちづくり提案と環境デザインガイドラインの検討のために、子ども達を集め「お絵描きワークショップ」を開催し、よく遊ぶ場所について描画をしてもらった。46名から絵を回収し、分析した結果、運動場、図書館、マーケットが共通の居場所となっていることがわかった。並行して行った現地踏査では路地における遊びが多く観測されたため、描画されなかった理由を検討する必要がある。 その他、Abese地区を含めたLa地域の市街地形成プロセスについて文献調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会・空間構造の調査については、この2年間で当初の想定を大幅に超える成果を得ることができた。研究開始当初は、南街区(拡張街区)の存在を認識しておらず、北街区(伝統街区)のみの調査計画を立てていた。しかし、調査を進めていく中で、管理が行き届かず多くの課題を抱えている南街区の存在を発見し、Abese地区とKowe地区の両地区で水・衛生環境や外部空間の維持管理状況について悉皆調査を行った。そもそも、地図がない地域であり、行政も地元の拒否にあって入れない地域であるにもかかわらず、空間を測量し、総合的な調査を行い、地域の一員として認められた(研究代表者は2018年11月に開発担当チーフに任命された)ことは画期的である。 一方、人員を社会・空間調査に集中させたため、建築生産に関する調査と近代都市・住宅地開発プロジェクトのレビューについては、予備調査にとどめることとした。 以上を総合的に勘案し、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の1~5の調査を継続し、本年度中に完了する。以上の成果を総括し、自律的な市街地改善のモデルを提案する。また、研究期間修了後の実践に向けて、6の調査を行う。 1. 社会・空間構造の調査:社会組織の構成と住環境運営の役割、土地所有の実態、住宅・街路の老朽度と維持管理の仕組み、共同施設(集会所、上下水設備、トイレ、シャワー等)の分布と管理運営の仕組み、オープンスぺースの構造と利用実態、行事の内容と利用空間などの調査を行う。2. 建築生産に関する調査:建物に採用されている伝統的な材料・構法、材料の調達の方法、建設に関わる人材・労働者組織の存否と構成について調査する。これらの情報を基に、新たな材料や構法との組み合わせによる安価で安全な建設技術の検討を行う。3. 自主的な環境改善単位に関する調査:衛生状態が良くない拡張街区において、自主的な舗装や下水配管の敷設を行っているグループを特定し、資金調達や役割分担など環境改善の仕組みを調査し、路地や血縁組織など小規模な空間単位を基礎とした環境改善の体制づくりの可能性を調査する。4. 環境イメージの把握:子どもを中心に、好きな場所、大切な場所などをワークショップで収集し、人々の環境イメージを把握する。これらを踏まえ、将来像を描きながら、環境デザインガイドラインを検討する。5. アクラにおける都市空間変容とLa地域の市街地形成プロセスの調査:文献調査により、植民地化以前からのアクラにおける都市形成プロセスを把握する。同時に、独立後に実現された住宅地開発プロジェクトについて計画理念をレビューし、今後の都市や居住地再生に継承するべき要点を検討する。また、La地域における市街地形成プロセスを調査し、固有性や課題を明らかにする。 6. Community-based Companyの設立に向けて、人材を掘り起こし、研究期間終了以降の実践へとつなげる。
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Research Products
(8 results)