2019 Fiscal Year Annual Research Report
性的形質の緯度クラインをもたらす性淘汰の環境依存性の解明
Project/Area Number |
17H04603
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高見 泰興 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60432358)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 性淘汰 / 緯度クライン / 交尾器形態 / 分子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
性的形質の地理的多様化機構を明らかにするため,交尾器形態に著しい緯度クラインを示す朝鮮半島産ツヤオサムシ類について,現地でのサンプリングと分子系統解析,形態解析を進めてきた.今年度は,韓国西部の低山地帯7エリアにおいて調査を行い,サンプルを得た.これにより,当初予定していた範囲のサンプリングがおおむね完了した. 得られたサンプルについて,従来から進めているサンガーシーケンスによる分子系統解析を引き続き行った.その結果,朝鮮半島内に分布するツヤオサムシ類には複数の系統が存在し,北方から複数回の侵入を受けている可能性が示唆された.南部で巨大化した交尾器を持つ集団は,そのうち1つの系統だけに由来するため,交尾器形態の緯度クラインの背景には,歴史的要因が大きく関わっている可能性が示唆された. サンガーシーケンスに加え,Mig-Seq法によるゲノムシーケンスの取得と解析を開始した.10年以上前に採集されたDNAサンプルからもデータを得ることが可能であるため,今回のサンプリングがかなわなかった地点からもデータが得られることが期待される.連携研究者の久保田耕平教授(東京大)より,旧サンプルを既に委譲されている.ゲノム解析を効率化するために,Linuxワークステーションを1台導入した. 形態形質の測定は,引き続き共同研究者の張大雄博士(江原国立大)と共に進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプリングは当初の予定通りおおむね終了した.解析も順調に進んでいる.今年度は最終年度であり,論文化に向けたまとめの段階に入りつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,サンガー法にもとづく分子系統解析の結果を論文化する.加えて,サンプルの形態解析によって新たに得られた知見を,分類学的論文として共同研究者と共に発表する予定である.さらに,Mig-seqを用いた分子系統,集団遺伝学的解析の結果と,形態測定の結果を合わせ,交尾器形態の緯度クラインをもたらした進化機構の解明につながる論文を執筆する.これらを効率化するため,共同研究者の張博士を神戸大にポスドクとして招聘する.
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