2017 Fiscal Year Annual Research Report
南アメリカのナス科ペチュニア属植物における自家和合性進化の遺伝的背景に関する研究
Project/Area Number |
17H04605
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上原 浩一 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (20221799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國分 尚 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (20282452)
渡辺 洋一 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 助教 (30763651)
土松 隆志 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (60740107)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自家不和合性 / 進化 / Petunia |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度から継続していた海外調査の準備についてようやく目処が立ち、30年11月30日~12月16日に上原、國分、土松、坂本(大学院生)の計4名でアルゼンチン、ウルグアイの現地調査を行った。 調査行程:2018/12/1 ブエノスアイレス州 ピピナス(Pipinas) 2018/12/2 ブエノスアイレス州 ルハン(Lujan) 2018/12/3 サンタフェ州 ベルビジェ(Bell Ville) 2018/12/4 コルドバ州 ヘススマリア(Jesus Maria) 2018/12/5 サンチャゴデルエステロ州 サンチャゴデルエステロ(Santiago del Estero) 2018/12/6 フフイ州 フフイ(Jujuy) 2018/12/7 チャコ州 モンテケマード(Monte Quemado) 2018/12/8 コリエンテス州 ゴジャ(Goya) 2018/12/9 エントレリオス州 セリート(Cerrito) 2018/12/10 エントレリオス州 グアレグアイチュー(Gualeguaychu) 2018/12/11 ウルグアイ コロニア州 ヌエバエルベシア(Nueva Helvecia) 2018/12/12 ウルグアイ カネロネス州 アトランティダ(Atlantida) 2018/12/13 ブエノスアイレス州( ブエノスアイレス(Buenos Aires) 調査対象種:Petunia axillaris subsp. axillaris (他稙型)、Petunia axillaris subsp. axillaris (自殖型)、Petunia axillaris subsp. parodii、Petunia axillaris subsp. subandina、Petunia axillaris subsp. pampaeana、Petunia occidentals、Petunia inflata 調査は、これまでに千葉大学園芸学部の海外調査で得られた自生地のGPSデータを活用し、それに記録のある自生地の現在の状況について詳細な現地調査をおこなった。前述のペチュニア自家和合種について主要な分布地を踏査し、すべての種について、合計約30地点の詳細な自生地の集団データを得ることが出来た。現在、現地調査で得られたデータの詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
千葉大学に所蔵されている主にアルゼンチン、ウルグアイ産のPetunia属植物、自家不和合集団の種子を発芽栽培し、得られた植物体から1葯あたりの花粉数等の形質の調査、DNAサンプルの抽出、自家不和合性発現に関わる花粉側因子のS-RNase遺伝子および花柱側因子のSFL遺伝子の探索をおこない、いくつかの該当遺伝子の配列を得た。30年12月にはようやくアルゼンチン・ウルグアイ調査を敢行することができ、多くの自生地集団データを得た。これをもとにPetunia属野生種の自家不和合性の進化の解明と、分子系統解析を進める準備が整った。また、ブラジル調査の準備が進み、31年12月の現地調査の目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度にアルゼンチン、ウルグアイにおいて2週間に及ぶ現地調査をおこない、自生地集団の詳細なデータを取得することができたこれを元に、ペチュニア属自家不和合性遺伝子進化プロセスのさらなる遺伝子解析を進めていく。また、現地調査をおこなった集団については、各集団から10株程度のDNAを抽出し、葉緑体DNAハプロタイプのシーケンス解析をおこない、種間、集団間の遺伝的関係を明らかにする。また、同じDNAサンプルを用い、核DNAについてはMIG-seqまたはRAD-seq解析をおこない、葉緑体DNAのデータとも合わせて詳細な系統関係を明らかにする。 31年度はブラジルの調査を実施する予定である。ブラジルは自家不和合種の分布の中心であり、アルゼンチン、ウルグアイに分布する自家和合種の分布域の周縁部にもあたり、ブラジル固有の自家和合種も僅かながら見られることから、ブラジル産ペチュニア属植物の調査解析も必須である。しかしブラジルはこれまで外国人が野生植物を調査することは困難であった。近年、学術的利用に関しては国際共同研究をおこなう土壌は整いつつあるが、日本人研究者が現地で植物調査・採集をおこなうのはリスクが大きい。そこで東京大学教養学部特任講師のTAVARES VASQUES DIEGO博士(ブラジル国籍)に現地調査の許認可、現地協力者の選定、現地調査を依頼した。DIEGO博士は31年3月にブラジル帰国の際に現地協力者の選定等をおこなった。31年12月に10日間の予定でブラジル現地調査を現地協力者とともにおこなう予定である。 アルゼンチン、ウルグアイについても、30年12月の調査で得られたデータの解析状況により必要となった場合は、31年12月に2名程度で追加調査をおこないたい。
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