2019 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on sex expression and pollination characteristics of overseas ancestral species for endemic plants in the Ogasawara Islands
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17H04609
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村上 哲明 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (60192770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國府方 吾郎 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (40300686)
渡邊 謙太 沖縄工業高等専門学校, 技術室, 技術専門職員 (50510111)
高山 浩司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60647478)
横山 潤 山形大学, 理学部, 教授 (80272011)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進化 / 小笠原諸島 / 固有種 / ベトナム / 性表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度も、小笠原産固有植物の推定祖先種が複数見出されている東南アジアのベトナム等において、研究分担者、連携研究者で推定祖先種のDNA解析用の葉サンプルや花サンプルを採集した。さらに現地で送粉動物の調査も行った。得られた葉サンプルについては、キャピラリーシーケンサーを用いたDNA解析と次世代シーケンサーを活用したMIG-seq法を行った。得られた情報に基づいて分子系統樹を作成した。それらの研究成果の一つとして、ベトナムのHon Ba自然保護区から新種 Gynochthodes honbaensis (アカネ科)を記載することもできた。 一方、小笠原諸島でも、同じくアカネ科の固有植物種の性表現や繁殖様式に関する調査を継続しておこなった。その結果、従来、雌雄両全生の(おしべとめしべの両方が一つの花の中に共存する)花をもつとされてきた小笠原固有種のシマギョクシンカが、機能的には雌株と雄株に分化していることが明らかとなった。小笠原産シマギョクシンカの中には、開花後に結実する個体と結実しない個体があることに気付いたので、若い花(蕾)のパラフィン切片による詳細な解剖学的観察を行った。その結果、葯内に花粉がある個体(雄個体)と無い個体(雌個体)が確認された。さらに、それぞれの個体の結実状況との対応を見ると、解剖学的観察で葯内に花粉が無い個体は子房が大きく膨らみ、ほとんどの花序で結実していた。一方、葯内に花粉を有していた個体では、子房が全く膨らまないまま(結実せずに)残存しており、前者との間で結実状況に明瞭な違いが認められた。これらの結果から、シマギョクシンカも見かけ上は両性花をつけるが、機能的に雌花あるいは雄花に分化している隠蔽的雌雄異株であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と研究分担者で手分けをして、東南アジア、北マリアナ、パラオ諸島などで調査と材料の採集と調査をし、小笠原産固有植物種と近縁な種と、その性表現や送粉様式等を明らかにする研究を進めてきた。その一方で、小笠原諸島の固有植物種についての理解を深めるための研究も進めてきている。本研究は、順調に進捗してきたと考えている。 一方で、2019年度末(2020年の初頭)から、新型コロナウイルスの感染が中国、韓国、そして日本、さらには欧米諸国でも拡大し、海外への渡航が不可能になった。そのせいで、年度末(大学の春休みの期間)に予定していた太平洋諸島での海外調査が実施できなかった。特に太平洋諸島の諸国では日本からの渡航が禁止されたためである。2019年度は、最終盤に予定していた調査ができなかっただけだったので、大きな問題にはならなかったが、2020年度はより深刻になることが危惧される。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、本科研費研究の最終年度であるので、海外ならびに小笠原諸島で補足の為のサンプル採集と調査を行って、まとめに入る予定である。また、関連する国際学会での発表、あるいは国内学会でのシンポジウムの開催などを予定していた。しかし、現在までの進捗状況のところでも述べたように、2019年度末(2020年の初頭)から、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、まず、国内外の学会がほぼ中止になってしまった。特に、欧米諸国への渡航が当面禁止されているので、我々が国際学会で発表をするのは不可能な状態である。10月までに開催予定の国内学会も、多くが中止を決定し、残りもオンラインのみでの開催が発表がされている。2020年度は、オンライン発表が可能な国内学会で積極的に発表していきたいと考えている。 また、東南アジア諸国での感染も拡大しつつあり、逆に感染が治まった台湾では日本からの渡航が禁止されている。先に述べたように太平洋諸国も日本人の渡航を既に禁止しているので、補足の為の調査を2020年度に行うことはかなり困難であることが予想される。さらに、小笠原諸島でも、島内の医療施設が脆弱であることから、研究者も含む島外からの旅行者による渡島に対して自粛要請が出された。小笠原諸島での追加調査さえも、2020年度は不可能になるかも知れない。 そこで、追加の野外調査が不可能な場合は、すでに得ているサンプルの解析とデータの取りまとめ、ならびに論文発表の準備に力を集中していきたい。一方で、2020年度の後半には新型コロナウイルスの感染が治まって、海外渡航や小笠原諸島への渡島が可能になることを切に願っている。
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Research Products
(5 results)