2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive evaluation of land-ocean interactions through river and ground water: a comparison between Asian monsoon and drought area
Project/Area Number |
17H04624
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小路 淳 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (10397565)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 真人 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80227222)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 海底湧水 / 生物生産 / モンスーン / 陸域起源栄養 / 貢献度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
海底湧水は河川水など他の陸水に比べてリンや窒素などの栄養を豊富に含むことから、沿岸海域の生物生産に高く寄与することが近年の研究で明らかにされつつある。しかし、これまでの研究は海底湧水と低次生産の関連を対象にしたものがほとんどであり、高次生物への影響を扱った研究例は世界的に見ても乏しい。今年度は、魚類の摂餌・成長に海底湧水が与える影響を評価するための野外実験プロトコルを確立し,各地の調査サイトへ応用することを目的とした.
海底湧水の存在が確認されている瀬戸内海の海岸域(湧水区)と対岸の無人島(非湧水区)において、海水中のラドン濃度(地下水湧出の指標)を測定した。2017年6月12日にマコガレイ稚魚(人工種苗、平均全長63.5mm)を1尾ずつ収容したケージ(45×45×30 cm、網目10㎜)を各調査区内の海底に計16個ずつ設置し、2週間後に回収した。期間中の体長の増加量と回収時の胃内容物を調査した。ソリネット(40×30 cm, 網目0.3 mm)による環境中の餌料生物採集、粒径組成およびデータロガーによる経験水温・塩分の解析を行った。
湧水区の平均ラドン濃度は非湧水区に比べて高く、海底湧水の影響が強いことを再確認できた。湧水噴出域における平均日間成長速度(0.27mm/d)は対象区(0.17 mm/d)に比べて速かった。マコガレイ稚魚の胃内容物の多くはヨコエビ類,貝虫類・二枚貝類などで占められた。このうち、当海域における天然マコガレイ稚魚の主要餌料であるヨコエビ類の分布密度は湧水区において高かった。底生微細藻類の生産速度(炭素重量)および胃内容物の乾燥重量も湧水区において多かった。以上のことから、海底湧水起源の栄養がマコガレイ稚魚の摂餌と成長を促進している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去の研究は,海底湧水と低次生産の関連が解析対象とされてきた.本年度は,海底湧水による高次生物への影響を評価するための野外実験プロトコルを確立できたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に確立した野外実験プロトコルを各地のサイトへと応用する.
|