2017 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル高原の草原保全における牧畜民の規範の役割に関する計量経済研究
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17H04629
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
鬼木 俊次 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (60289345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 牧畜 / 経済 / モンゴル / 規範 / 経済実験 / 乾燥地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、モンゴル高原の牧畜民の草原利用に関する規範の形成要因を推定することである。モンゴルの草原が長期的に守られているのは歴史を通じて牧畜民の規範意識が高かったためと考えられているが、今日の市場経済化の進展のため、それが持続しないのではないかという懸念が生じている。本研究の目的は、数量的・実証的なアプローチから最適な草原保全問題に答えを見出そうというものである。本年度、まずはモンゴル国における牧草地保全に関する予備的調査のため、同国の広域的な地域で予備的な調査を行った。地方行政機関の関係部局および牧民の代表に対して聞き取り調査を行い、現地の人々の草原保全的な活動の要因について定性的な調査を行った。その後、収集した各種資料の分析を行い、地域の特性を把握した。特に地域によって牧民の草地利用形態が変化する可能性に重点を置いて調査した。その問題を明確に調べるために、都市近郊と地方の比較に重点を置くことにした。また、現地カウンターパート研究者と協議の上、調査票を完成させるとともに、調査計画をデザインした。その後、モンゴルのステップ地域および森林ステップ地域において遊牧民世帯のランダムサンプリング調査を実施した。調査に先立ち、現地で調査員の事前研修を行い、その後、選択した各世帯を訪問し、世帯主に対してアンケート調査を行った。中国内モンゴルにおいてもカウンターパート機関と本件に関する打ち合わせを行い、予備的な検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モンゴル国のカウンターパートの全面的な協力のおかげで、想定していた地域を越える広域的なコミュニティーの調査を行った。また、牧畜民世帯に対する経済実験を含むサンプリング調査を実施し、想定以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は、モンゴル国の遠隔地において乱数をつかってランダムに選択した牧畜民世帯に対するサンプリング調査を行う。調査内容は、草原保全およびコミュニティの社会関係に関する聞き取り調査を含む。その後、草原利用の要因についてモデルを推定して分析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)