2017 Fiscal Year Annual Research Report
地域環境知と超学際的アプローチの導入による地下水保全に向けた節水灌漑技術の開発
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17H04633
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
久米 崇 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80390714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
治多 伸介 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (60218659)
福永 真弓 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70509207)
松田 浩敬 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (50451901)
大元 鈴子 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (70715036)
毛利 英之 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 特任研究員 (20728349) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 持続的農業 / 節水灌漑 / 地域環境知 / 地下水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、乾燥地における持続的農業を創出することを目指し、研究手法として地域環境知の発掘と超学際的アプローチを新規導入し、新たな節水灌漑技術を開発することである。2017年度初年度は基本データの収集、節水灌漑開発に関する地域環境知の収集、ワークショップによる地域が解決するべき問題とその課題の明確化を行う。 各メンバーが基本情報の収集を行った。自然系では、土壌サンプル採取および土壌水分計設置により、基本的な土性情報と灌漑情報を得た。対象とした農地における栽培作物は天水コムギ、少量灌漑メロン、トウモロコシ畑である。灌漑情報については、農家への聞き取りを個別に行い、灌漑回数や灌漑量等のデータを得ることができた。一方で、地下水位変動に関しては国会水利局をはじめとする各機関に地下水位データー譲渡の打診を行ったが、政府内の混乱等があり残念ながら不調に終わった。社会系では、オープンマーケット調査を行い、農産物の流通・加工・販売に関する聞き取りを行った。マーケット調査では主にメロン関係の流通について、複数のトレーダーに聞き取りを行うことができた。 予定していた初年度のワークショップは、対象地域であるカラプナール市の市長をはじめ国家水利局、コンヤ平原開発局、そしてローカルステークホルダーの参加を得て開催することができた。カラプナール市を含むコンヤ県では、節水灌漑の必要性はすでに十分理解されており、各農家をはじめとして省庁も水利用については非常に細かな管理を行っていることがわかった。しかしながら、節水を進めても大規模農業という農業形態がネックとなり、地下水に完全に依存する同市の地下水量は減少の一途をたどっていることが広く理解されていることも明らかとなった。つまり、現状、適切な水管理で農業がおこなわれているが、それは必ずしも地下水保全につながらないことが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
政府機関の混乱があり、国家水利局およびコンヤ平原開発局との研究連携が思うように進まなかったことが原因である。これは、対象地域周辺のみでなく、トルコ全土で発生している事象であり、政局の混乱も相まって今後注意深く対応せねばならない。 地域環境知の発掘を思うように進めることができなかった。基本情報の収集に手間取ったこともあり、インタビュー調査を進める中で新たに紹介される農家の地域環境知にまで手が十分に届かなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は、研究1年目の内容を踏まえた上で、研究計画書に沿った形で進めていく。基礎データ収集の継続、地域環境知の発掘、地域農産物に付加価値を付けたフードチェーンの検討を主に実施していく予定である。
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Research Products
(4 results)