2020 Fiscal Year Annual Research Report
A molecular epidemiological study of associations between autism spectrum disorders induced by prenatal dioxin exposure and alteration of clock gene expressions
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17H04665
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
西条 旨子 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40198461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 隆史 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (70629815)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダイオキシン / 体内時計 / クロックジーン / 頬粘膜細胞 / 発達障害 / 性差 / 睡眠時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、周産期ダイオキシン暴露により自閉症傾向が増すことを報告してきたが、今回は、自閉症児の不適合症状である睡眠障害に関連する体内時計に対するダイオキシン曝露の影響を検討することを目的として研究を行った。 対象は、ベトナム・ダナン市で、2008-9年に立ち上げた小児コホート135名(男児79名、女児56名)であり、9歳になった時に、頬粘膜細胞中のクロックジーンであるBMAL1(夜間発現)、PER1、PER2、CRY1, CRY2(日中発現)のRNAの発現をRT-PCRで解析した。各遺伝子発現量の指標としては、β-アクチンをリファレンスとして補正したCT値を対数変換して用い、生後1か月時に採取した母乳中ダイオキシン濃度(周産期ダイオキシン暴露量)との関連性を解析した。同時に児の昼寝を含む平日の睡眠時間に関する調査を行い、各クロックジーンのCT値との相関性を検討した。 その結果、クロックジーンの発現が検出できた98名の内、BMAL1の発現が認められた児は32名(男児17名、女児15名)と少なかったが、BMAL1の発現が認められた女児は、認められなかった児に比べ、TCDDやTEQ-PCDD/Fsが有意に高かった。また、全てのクロックジーンと周産期暴露量との関連性を解析したところ、女児ではBMAL1のCT値とTCDDおよびTEQ-PCDD/Fsとの間に有意な正の相関、PER1とTEQ-PCDFsとの間には負の相関が認められた。 また、BMAL1のCT値は、夜および昼寝も含めた睡眠時間と有意な負の相関を女児で示し、CRY1は夜の睡眠時間と有意な負の関連を、CRY2は昼寝時間と正の相関を示した。 以上のことから、周産期ダイオキシン暴露は9歳女児のクロックジーンの発現に影響を与え、特に夜間発現するBMAL1が昼中でも発現することで睡眠時間の短縮が生じている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響により、ベトナムにおける研究に遅れが生じたが、期間延長により、周産期ダイオキシン曝露の体内時計への影響が、自閉スペクトラム症の発症率の高い高TCDD曝露群で認められ、当初の目的を達したことによる。 しかし、この傾向は女児に顕著であり、男児について明らかにし得ていないことから、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究対象児は、8歳の時に、ADHD尺度、攻撃性の評価尺度C-SHARP、学習障害の指標であるCLDQなどの発達障害の指標となるテストを受けており、高TCDD曝露群で、それぞれの障害のリスクが上昇することが報告されている。今後は、それらの得点と今回得られたクロックジーンの発現や睡眠時間との関連性について解析を行い、ダイオキシンによる発達障害とクロックジーンの関連性について明らかにする。
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Research Products
(4 results)