2018 Fiscal Year Annual Research Report
Search for H. pylori genes and epigenetic status by Pacbio decoding
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17H04666
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小林 一三 杏林大学, 医学部, 非常勤講師 (30126057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 茂 杏林大学, 保健学部, 教授 (10177587)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ピロリ菌 / 胃がん / GWAS / メチローム / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)中国・日本・韓国のピロリ菌350株(沖縄、雲南少数民族、モンゴルを含む) のゲノム配列(Illumina)が出揃い、系統地理的解析を進めた。東アジアの先史(Homo sapiensの東アジア到達、アメリカ大陸への移動、少数民族の移動、漢民族の成立)、日本人の起源(旧石器・縄文・弥生時代)に対応づけられる集団構造が得られた。また、分集団特異的なゲノム配列変異が、ピロリ菌の走化性、運動、輸送、表層、代謝、ホスト相互作用に関するタンパク質100超で明らかになり、立体構造原子座標レベルで適応進化の機構が推測された。 (2)「胃がん」と「十二指腸」由来の東アジア株多数の比較のGWASから、この病態差に関連する約20遺伝子産物のSNPが明らかにされ、立体構造レベルで機構が推測された。 (3)配列特異的メチル化酵素多数をハブ転写制御因子とする遺伝子発現制御ネットワークについて、詳細を明らかにした。 病原性アイランドでの、メチル化モチーフごとの特徴的な分布と遺伝子発現制御との関連を明らかにした。ピロリ菌メチル化酵素遺伝子の変異と再編に夜配列特異性変換で、メチロームが大きく変わるメチローム・ミクロ進化を、家族内感染で明らかにした 。 ゲノム比較から発見された病原因子候補である「塩基切り出し型制限酵素」が胃細胞のゲノムに働きかけてがんを起こす可能性について、構造生物学、分子進化学、がんゲノム学、遺伝学的解析を進めた。 (4)HpGP (NIH)から、世界13カ国281株のPacbioメチローム解読結果が、チーム内部に伝達され解析がスタートした。日本のピロリ菌(胃がん、胃炎、十二指腸潰瘍、鳥肌胃炎由来)28株を、 NIHへ送っている。 (5)メチロームインフォマティクスという分野を開拓するために、ATGCの4塩基ではなく、メチル化状態も含めた10塩基で、メチロームを記載する方法を実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
特に、東アジア株について、上の(1), (2)で示すように、大量ゲノムデータから、タンパク質構造レベルでのメカニズムに迫る画期的な結果が一気に得られた。これらは、実験解析を大きく刺激するであろう。ゲノム・メチロームデータから、メチロームのダイナミックなミクロ進化、そして各遺伝子産物の機能に迫る解析も並行して進んだ。代表者は、日本と世界の研究者と緊密に連絡を取って解析を進めている。HpGPについては、ようやくメチロームデータが内部公開された。 HpGP関係者とも頻繁に会っている。「データだけではダメ」 「メチロームを対象とする新しいバイオインフォマティクス分野の創成と、それによる徹底的な解明が必要」という私の主張が通り、共同研究体制の整備が進み、2019年8月には二日がかりの作戦会議をNIHで開くことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
6月には中国側のトップと会い、共同研究体制について打ち合わせる。8月にNIHでバイオインフォマティクス関係の作戦会議を開く。私たちの日本のグループは、それまでに進め方を明らかにする。特に、(a) 10塩基表記によるメチローム進化解析、EWAS手法を開発するなど、インフォマティクスの基盤的方法を開発する。 (b) ゲノム・メチロームのデータから、各タンパク質の構造機能に迫り、実験解析と繋げる道を開く。(c) メチル化酵素による遺伝子発現制御ネットワークのダイナミックな進化について明らかにする。これらの方向づけによって、私たちのこれまでのピロリ菌ゲノム・エピゲノム研究のラインを、国際協力のもとで大きく展開し、ピロリ菌とヒトの相互作用による発がんの仕組みの詳細な理解を目指す。とりわけ、日本、アメリカ、中国、ヨーロッパなど世界の様々なグループの分業と協力が進むことを目指す。
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Remarks |
NCI (NIH) を中心とするHpGP (H. pylori Genome Project)は、世界15カ国から1000株のピロリ菌を収集しつつある。うち281株についてメチロームを解読ずみ。解析のモデルが、私たちの150メチローム解析である。China CDCは中国全土の行政区の組織を使って、数万のピロリ菌を収集している。ゲノム解読ずみは400株、目標は100万株である。
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Research Products
(37 results)