2018 Fiscal Year Annual Research Report
無線センサパッチとリーダウェアによるハイサンプリング生体計測システム
Project/Area Number |
17H04685
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
野田 聡人 南山大学, 理工学部, 准教授 (60713386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウェアラブルシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人体表面の多点かつ高サンプリングレートの生体計測を日常的に装着可能なウェアラブル計測システムで実現することを目的とし,人体表面に貼り付ける複数のセンサパッチと,それらに給電しデータを読み出すためのリーダウェアとの組み合わせによる手法の確立を目指している.平成30年度の研究計画は,リーダウェア上の給電コイルと皮膚上の受電コイルとの間での給電および通信を重点的に研究し,当初計画通りのリーダウェアとセンサパッチによる計測システムのプロトタイプを実現することと設定した. 実績として,上記計画については概ね達成し,さらに年度内に優先度を見直してより重点的に実施した,通信路となるリーダウェアに直接センサやアクチュエータを取り付けるシステムについて当初想定を大きく上回る成果を得ている. リーダウェアとセンサパッチとの近接無線通信については,市販ICおよびモジュールを使用して数cmの距離までのセンサデータ送信の実験を行った.皮膚へのパッチの貼り付けのため,生体適合性のある粘着剤と伸縮性のあるフレキシブル基板によるコイルアンテナの製造が可能な国内企業の協力を得て詳細設計に着手した. また,前年度までに市販ICを用いた小型モジュール化を達成した通信用回路について,CMOSワンチップ化に向けて他大学の研究者との連携,製作に向けての検討を開始した. リーダウェアに直接センサおよびアクチュエータを取り付けるシステムについては,無線ゲートウェイとなるデバイスを介した外部への無線データ送信,外部からの衣服上のアクチュエータの無線コントロールなどを実装し,国内外の学会でのデモ発表等で受賞に至っている.また従来100kbps程度まで達成していた通信速度を1Mbps程度まで引き上げる実験に成功しており,最終年度に当初目的通りのハイサンプリングレート計測システムを実現する見通しをつけた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で説明したように,本年度の実施計画については概ね達成している.加えて,リーダウェアに直接センサやアクチュエータを取り付ける形態のシステムについて,想定以上の成果を得ている.前年度中に出願した特許の成立1件,国内学会での依頼講演1件,国内学会での受賞1件,国際会議での受賞1件,国際論文誌(IEEE)への論文採録1件などを含め高い評価を得ている.本研究課題の成果をきっかけとして他大学の研究者や国内企業との共同研究も複数件を実施中であり,学術的な新規性や産業的な有用性が各方面で評価されているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は次年度が最終年度であり,今後は当初計画を完遂するべく各要素技術の完成とそれらの統合を進めていく. 各要素技術は概ね計画通りあるいはそれを上回る到達状況である.一方で,デモンストレーションシステムの実装などはあくまで一例を示すものにとどまっており,実装した問題解決法の必然性や普遍性についての議論は必ずしも十分ではない.当初計画の達成に加えて,より学術的に有意義な成果,一般性・普遍性のある知見を見出すことを意識して研究を推進する.
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Research Products
(13 results)