2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマン顔ライブ拡張現実のための動的プロジェクションマッピングの研究
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17H04691
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩井 大輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90504837)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロジェクションマッピング / プロジェクタ・カメラ系 / 拡張現実感 / 人間拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はまず、予備検討として進めていた試作システムにおいて、10 ms程度の遅延量で人顔面へのプロジェクションマッピングが可能であることを確認した。さらなる低遅延化を実現するため、1,000 Hzで単色8ビット画像を投影することのできるプロジェクタ(遅延時間:3 ms)と、駆動用のワークステーションを補助金にて購入し、高速プロジェクションシステムを構築した。当該プロジェクタは特注のインタフェースによってワークステーションと接続される特殊機材であるため、1,000 Hzでインタラクティブに映像切替するための駆動方法の確立が必要であったため、本年度では、投影システムの整備に最優先に取り組んだ。まず、現有する500 fpsのカメラを組み合わせ、高速ProCam系を構成した。そして同システムの動作検証を行い、人がズレを知覚しないとされる6 ms以下の遅延で映像投影が可能であることを確認した。一方、3次元空間中を移動する立体面への投影において、焦点ボケによる画質劣化の影響が無視できないことが確認できた。そこで、プロジェクタの焦点ボケ問題を解決するため、可変焦点レンズを導入することを検討した。その結果、同レンズの応答速度が十分でなかったため、スパース最適化に基づくフィードフォワード制御を適用し、適用前と比べて2倍以上高速に所望の位置に合焦する手法の開発に成功した。焦点ボケ解決の別アプローチとして、投影像を高速に微小移動させて重畳することで超解像度化する技術についてもシミュレーションベースで検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の交付申請書に記した研究実施計画がほぼ達成できたためである。特に、高速プロジェクタを低遅延で駆動するプラットフォームの構築が完了したため、次年度以降に研究課題を強く推進するための基盤が整った。交付申請時の計画どおりに進まなかった点として、高速ProCam系の幾何補正、色補償等の実装が間に合わなかったことが挙げられる。一方、申請時に想定していなかった知見も得られている。すなわち、投影対象を可変焦点レンズを通して観測する系において、対象の任意位置の空間周波数を変調可能とする原理を考案し、その動作を予備的な実験により確認した。これにより、例えば顔の皺を消すような新たなプロジェクションマッピングの実現可能性が高まった。高速プロジェクタを用いた新たな研究の展開であり、本研究課題の高い波及効果を示すものであると考えている。 本年度は、主要国際論文誌採択、招待講演の実施などを行っており、十分に高い成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実績概要にも記した通り、予備検討の段階で10 ms程度の遅延量で人の顔にインタラクティブに映像投影できた。今年度により高速なプロジェクタを導入したため、コンピュータの処理速度の向上により6 msまでのギャップを埋めることが可能であると考えている。このため、入力から出力までの処理については予備検討のものをそのまま使用するとし、来年度は、単に映像を追従させるだけでなく、立体かつ模様付き面に映像投影する際に問題となる種々の画質劣化要因(焦点ボケ、色ズレ等)を高速に解決できるような基盤技術の開発に注力する。さらに、高速プロジェクタを用いた新たな研究展開として、実対象の模様の空間周波数を自在に変調する技術についても研究を深め、本研究課題で深める技術が高い応用可能性を有していることを示していきたい。
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Research Products
(11 results)