2017 Fiscal Year Annual Research Report
Advancement of Vision Augmentation via Optical See-Through Head-Mounted Displays and Vision-Adaptive Image Processing
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17H04692
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 勇太 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (10781362)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 拡張現実感 / HMD / 視覚拡張 / 光学透過型 / AR |
Outline of Annual Research Achievements |
光学シースルー頭部搭載型ディスプレイ(Optical See-Through Head-Mounted Display, OST-HMD)を用いた拡張現実感(AR)応用において、視覚特性適応画像処を用いた視覚の拡張技術の実現に向けて、今年度は下記の進捗があった。 【超高精度空間校正手法&視覚特性の推定】について、眼球内部の反射モデルに基づき、頭部装着型の眼球計測カメラにより単眼の焦点距離を計測する手法を検討開始した。本手法はカメラに取り付けた光源による眼球内での第3プルキンエ反射の観測位置を入力、観測時の眼の焦点距離を出力とした回帰モデルを学習する。焦点距離は映像を正しく提示するための重要な手がかりである。更に、焦点距離を推定できた場合に備えた、OST-HMD使用者の視力を動的に補正する仕組みを検討した。そのために位相限定の空間光変調器を用いて動的に焦点距離を補正する光学シースルーシステムを試作した。これにより、人の焦点距離に応じて、背景の奥行を光学的に制御できるようになる。更に、空間校正に関する80余本の既存論文を包括的に調査し、今後の空間校正研究の基盤となる調査論文を発表した。 【視覚特性適応画像処理】について、OST-HMDとプロジェクタを用いて、人の視覚により自然な映像提示を行うシステムを検討した。提案システムでは人の視点に応じて質感を再現する表示手法を実現した。更に、色覚異常をOST-HMDによって補助するシステムを構築した。OST-HMDに組み込まれた同軸光学系カメラによって撮影した視野の映像を、ユーザーの色覚異常に応じて画像処理を施し、視界に重畳する。画像は色覚異常を軽減するように計算されており、色覚異常者による評価試験の結果、色覚が正常な場合と同程度の色弁別性が実現できることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【超高精度空間校正手法&視覚特性の推定】について、当初計画通り水晶体での光源反射から焦点距離推定を行う手法を検討し、おおむね順調に進展した。眼球の回転時に光源反射が困難な問題が残るため、今後の改善が必要である。また、焦点距離に応じた映像処理が可能になるよう、位相変調による可焦点光学系の初期検討を開始することができた。執筆した調査論文によって空間校正の現状と今後に関する指針を作成することができた。全体として、おおむね順調に進展している。 【視覚特性適応画像処理】について、当初計画にあった視力に応じた映像処理手法は検討できなかったものの、当初計画より前倒しで視覚に応じた映像提示を検証するためのOST-HMDとプロジェクタを統合した映像提示システムを実現した。更に、同じく当初計画より前倒しで、色覚異常をOST-HMDによって補助するシステムを構築し、応用例の前倒し実証を行った。本システムOST-HMDに組み込まれた同軸光学系カメラによって撮影した視野の映像を、ユーザーの目の色覚異常に応じて、画像処理を施し、視界に重畳することで、色覚異常による色の弁別性低下を抑制することができた。またトップ国際会議で優秀論文賞を獲得するなど、学会からも高い評価を得た。全体として、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
【超高精度空間校正手法&視覚特性の推定】について、検討開始した焦点距離推定の手法にはまだ計測の不安定性が課題として残るため、光学系の再設計も視野に入れた検討を行う。また今年度の空間校正調査の結果を元に、より高精度な空間校正技術を検討する。 【視覚特性適応画像処理】について、前年度に進展のなかった眼の視力に応じた適応画像処理を改めて実施する。そのために今年度検討した焦点距離補正システムの成果を組み合わせる。
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