2017 Fiscal Year Annual Research Report
二次元触感ディスプレイの開発とそれを用いた素材恒常性の原理探求
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17H04697
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 正吾 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10579064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 触感 / テクスチャ / 摩擦力 / 振動触刺激 / 静電摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
従前の触覚テクスチャディスプレイは,機械刺激を用いる方法と摩擦刺激を用いる方法に大別される.両者は得意とするテクスチャおよび力学的性質が相補的であり,これらを併用することによる触感提示能力の向上と,それによって初めて実現するサイエンスが十二分に期待される.それにもかかわらず,これまでに両者を併用した触覚テクスチャディスプレイは存在しなかった.この触覚テクスチャディスプレイがこれまでのものと大きく異なる点は,表面粗さに関する刺激と,摩擦刺激を独立に制御して提示可能な点である.従来のものはいずれか一方の提示のみを可能とした.通常,素材の表面は粗さと摩擦により特徴づけられるため,新たに開発する触感ディスプレイを用いて素材の触知覚の原理に迫ることが本研究の目的である. 本年度は,代表者らのこれまでの経験を活かして,能力の高い触覚テクスチャディスプレイをハード・ソフトの両面から開発するとともに,自然素材(布・木材・樹脂など)の表面を指で擦ったときに生じる作用力を収集した.実験では5名の参加者がさまざまな素材を触察し,その時の指の運動と作用力を高精度なセンサを組み合わせた計測装置により計測した.作用力は,法線力と接線力(摩擦力)に分類されるが,両者の統計的な関係に着目した研究はこれまでに存在しない.本研究は両者の間の統計的関係(例えば,相関,位相)が素材に依存することを見出した.このような2分力の関係をヒトが触知覚に活用している可能性がある.2分力の関係に関する発見は,国際会議(IEEE SMC2018)にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
雇用していた外国人研究員が,帰国を余儀なくされ,2017年度の研究は遅れたが,2018年度の前半に取り戻すことが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に発見した触察中に発生する2分力の統計的関係の意味を開発した触覚テクスチャディスプレイと心理物理実験の手法を用いて調査する.
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