2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Individual Learning Support System Optimized by Learner Characteristic Analysis
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17H04707
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森下 孟 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (70642528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学習支援システム / 学習分析 / 学習の個別最適化 / 学習特性の可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
蓄積した学習データをもとに学習環境に最適化させるための分析手法を量的・質的な側面から検討した。また,National Conference on Student Assessment(NCSA)2018に参加し,最新の学習履歴分析手法やその研究について調査,情報収集を行った。 蓄積した学習データに基づく最適化させるための分析手法の検討では,学校吹奏楽初学者の演奏基礎力向上に着目し,ロングトーン練習に特化した個人練習支援システムを開発した。グラフ上で得られる情報をある程度パターン化することで,その特徴や傾向に応じて適切なフィードバックを与えることが可能であることを明らかにした。また,開発したシステムは初学者の演奏音の特徴を捉えており,学校吹奏楽初学者の省察に有用であり,昨年度開発したシステムを発展させ多様な学習環境に最適化した分析に応用できることを明らかにした。 初学者のスキル向上に着目し先進的技術を活用した分析手法を検討した。学生が擬似的に授業観察し授業スキルを高めるための仮想現実教材を開発し,平面画像と全天球画像をもとに教員養成学部生が授業観察した内容の差異を分析した。授業観察で気づいたことを比較した結果,全天球画像では空間認識がしやすくなり,学生は子ども達の手元や身体の向き,教室全体の環境までより広く詳しく観察したことを明らかにした。さらに,中山間・へき地小規模校を対象に遠隔支援を行った学生の意見などを分析した結果,ビデオ会議システムを活用した教師支援型遠隔教育の経験を通じて,教員養成学部生らは,(1)児童らが,ビデオ会議システムなどのICTを用いて遠方にいる専門家などの遠隔支援を受けることで探究的な学習活動に取り組めることを実感し,(2)ICTの特性を理解したうえで,ICTを有効活用した遠隔教育を実現するための知識や技能を獲得できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に開発したシステムの応用により,主に学校吹奏楽初学者や授業観察初学者の児童生徒や教員養成学部生を対象に学習特性を把握できることを明らかにした。また,昨年度の繰り越し課題とした海外研究機関等における先進的な学習履歴分析手法の調査を実施し,意見交換や情報収集を行うことができた。ここで得られた意見や情報,本年度の研究成果などをもとに,2017年度に開発したシステムをさらにブラッシュアップする計画を進めており,これらのことを踏まえると,ほぼ計画どおりに本研究が進行できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度までに得られた国内外学会・研究会などでの意見や情報,研究成果をもとに,これまでに開発したシステムをさらにブラッシュアップし,新たな学習データの蓄積を行う。異なる地域性や社会性等を有する多様な学校環境に対応するため,多様な学校環境下での試行・評価を通じて,都市部や山間過疎地等の異なる環境を有する学校等で本研究開発手法の有用性をさらに検証する。有用性の検証では,IRT(項目反応理論)をはじめとする確率推定モデルの利用を検討し,学習成果などから統計的に分析・評価する。特に,確率推定モデルの利用検討においては,Learning Analyticsに関する国内外の研究会やシンポジウムなどに参加し,最新の学習履歴分析手法やその研究・実践について調査,情報収集を行う。なお,これまでに得られた研究成果は,前年度に引き続き,国内外の各学会・研究会などへの参加・成果報告や研究成果の公開を行う。
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