2020 Fiscal Year Annual Research Report
外洋性魚類・鯨類を指標とした北西太平洋における水銀安定同位体比の三次元分布解析
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17H04712
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板井 啓明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60554467)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水銀安定同位体比 / 海棲哺乳類 / 北西太平洋 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、COVID-19の蔓延により実験には好適な状況ではなかったが、これまでに産生したデータの解析を進展させ、報文投稿準備が整った状態である。北西太平洋各地のカツオから取得した水銀濃度は、フランスのグループと共同で南太平洋のデータと同期し、(1)北太平洋(NPW)の個体群は南太平洋(SPW)に対して有意に高値であること、(2)西部太平洋(NWPW)の個体群は中~東部北太平洋(NCPW-NEPW)に対して有意に高値であること、を明らかにした。また大気海洋物理モデルとの同期させたGeneral Additive modelの応用により、これらの要因として、(1)NWPW>SPWはHg0の大気中濃度分布と整合的、(2)NEPW>SPWは北米沖の酸素極小層深度が浅いことが影響、と考察した。これらの成果は、国際学会で共同発表が予定されており(2021年7月)、論文原稿もほぼ完成した。水銀安定同位体比のデータも主要なサンプルについて得られており、体長から予測される水銀濃度からの偏差と、水銀安定同位体比の間に関係を見出しており、別途論文化する予定である。 副次的な成果として、本課題で用いた北西太平洋のサンプルセットについて、微量元素組成の特徴や鉄の安定同位体比の分析を実施し、生態系を介した微量元素循環についても新たな知見が得られた。鉄安定同位体比については、栄養段階の上昇にともなう同位体比の減少トレンドなどが得られており、海洋生態系に応用した研究が少ないことから重要な成果になることが見込まれる。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)