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2017 Fiscal Year Annual Research Report

Ex situ conservation programmes utilizing the behavioral plasticity in environmental manipulationen for dangered sea turtles

Research Project

Project/Area Number 17H04720
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

工藤 宏美  東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員 (80649757)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords絶滅危惧種 / 移動性野生動物 / ウミガメ / 行動可塑性 / 行動シンドローム / パーソナリティ
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、性格を特定するための刺激の選定と実験設定を行った。その後、刺激提示実験を行い、個体内の一貫性を確認した後性格を特定した。次に、2種類の性格次元の行動反応性から行動シンドロームの有無を個体ごとに調べた。最後に、行動可塑性に関連する性格次元を調べた。
予備実験で選定した大胆さの刺激を網、新奇探索性の刺激に鏡を用いて実験設定を行なった。まず、鏡が奇異な物になるか確認するため、水槽の一方の壁に、刺激なし、鏡にカバーをした状態、鏡のみの状態を設定し、刺激近傍におけるウミガメの滞在時間と鏡への追尾時間を比較した。その結果、何も無いときに比べ、物体があると滞在時間と接近時間は長くなるが、鏡のみ提示したときに滞在時間と接近時間が最長となった。次に、網が大胆さの刺激になるか確認するため、網の刺激なしとありの状態で、刺激近傍に滞在した時間を比較した。その結果、網があると滞在時間が短くなった。このことから、鏡は新奇探索性の、網は大胆さを示す指標になることが示された。大胆さの刺激を手網、新奇探索性の刺激を鏡に設定し、同一刺激で2回実験を行い、1回目と2回目の間には有意な高い相関が認められた。このことから、手網や鏡に対する応答の個体差は、一貫した形質であり、個体の性格の指標となることが示された。また、これら2種類の性格次元を変数とし、行動反応性の強さを分類して行動シンドロームの有無を調べた。その結果、行動反応性が高い個体には行動シンドロームが認められたが、行動反応性が低い個体には行動シンドロームは認められなかった。上記の性格形質で、大胆さと探索性を数値化し、行動シンドロームの有無と合わせてそれぞれの性格次元を個体にラベルした。これらの個体が示す性格次元と、網の有無で新奇探索行動と摂餌行動の差が示す行動可塑性との関連性を調べた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、アカウミガメとアオウミガメの亜成体を対象に実験を行う予定だったが、間越海岸周辺に生息しているアカウミガメは、体サイズが大きすぎて船への引き上げが困難であることや網が破けてしまうため、収集できなかった。そのため、アオウミガメ亜成体のみを用いて、計画書(1年目)[ 性格の実験設定および性格の特定と行動可塑性の計測] を行うべく、設定を行った刺激で、刺激提示実験を行った。計測した行動の個体差に一貫性が確認され、個体の性格の指標となることが示された。これにより、本年度は対象種を変更したものの、当初の予定どおりの実験を行い、性格の特定および行動可塑性の計測を可能とする結果を得た。引き続き、性格と野外行動との関連性を調べる予定で、そのための準備体制はおおむね整っており、研究の進行に問題はない。

Strategy for Future Research Activity

本研究では、アオウミガメの亜成体を用いてa)状況の違いに応じた行動を計測することで、行動可塑性の高い個体の性格を特定し、b)性格と野外行動の関連性を調べることで、行動可塑性に影響を与える行動特性の適応性を検証する。さらにc)行動可塑性の高い個体の性格の獲得要因を調べるため、性格と行動特性を種間・個体群比較する。以上の結果をもとに、性格と野外の行動特性から、可塑性の高い性格の個体を特定することができ、生息域外保全の移植個体の選定基準の範囲を設定する。来年度は、引き続きa)の実験をして個体数を増やし、b)の実験を行う。
具体的には、行動可塑性に影響を与える行動特性の適応性の検討を行う。行動可塑性の高い性格を特定後、野外に放流し、適応につながる機能的な行動(潜水・移動・休息)や位置情報を計測し、それぞれの行動に費やす時間と場所を調べる。これにより、性格と野外行動の関連性を調べ、高い行動可塑性をもつ性格の個体の行動特性を明らかにし、適応性を検討する。行動計測には、回収が不要なサテライトタグを用い、性格の可塑性を特定した飼育個体を野外の海洋に運び、潜水深度、水温、GPSセンサーを1個体に装着して放流し、衛星を介して活動を示すデータを得る。性格の特定や野外での行動追跡で、より説得力のあるデータを得るために、状況によっては調査場所や実験の追加・変更も行う。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018 2017

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] アオウミガメ亜成体の大胆さ・臆病さと新奇探索行動の可塑性との関連2018

    • Author(s)
      工藤宏美,内田桂,小林博樹, 佐藤克文
    • Organizer
      第65回日本生態学会
  • [Presentation] アオウミガメを用いた行動シンドローム研究の試み2017

    • Author(s)
      工藤宏美,内田桂,小林博樹, 佐藤克文
    • Organizer
      第36回日本行動学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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