2017 Fiscal Year Annual Research Report
The slag brick history in Japan -especialy about Imperial Steel Works YAWATA-
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17H04728
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
市原 猛志 九州大学, 大学文書館, 協力研究員 (00590564)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | からみ煉瓦 / 鉱滓煉瓦 / 高炉スラグ / 八幡製鐵所 / 黒田泰造 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
年度最初のスウェーデン海外調査によって、ヨーロッパ製鉄業における初期の鉱滓転用事例としての「鉄からみ煉瓦」を発見・再認識したことは、研究において大きな成果といえる。この発見は、銅からみ煉瓦や赤煉瓦・耐火煉瓦と比較した上での鉄鉱滓煉瓦の特異性を示すために必須不可欠な物証であり、いわば日本国内における鉄鉱滓煉瓦発展史のミッシングリンクのひとつであった。この成果を中心に素材比較によるそもそもの鉄鉱滓煉瓦の特殊性に関して本年度は研究発表を行った。鉄鉱滓煉瓦は、焼成過程を経ない煉瓦様素材としての特異性とともに、セメント材に近似した素材でありながらポルトラントセメントとは異なりポゾラン反応による硬化作用を持つ特殊な素材として捉えられ、赤煉瓦に見られるJIS規格形状以外の可塑性の高い形での現存事例も数多く存在することが明らかになった。
今年度の成果発表としては、産業考古学会における速報的な発表（10月）とそれを元にした査読付き論文一本の作成（3月発行）を行った。また年次調査報告会を東京（千駄木マド・12/9）及び大阪（生駒ビル地下図書室・3/3）にて開催し、今年度得た研究成果の発表体制に関しては想定した以上にスムーズに進んでいる。
また来年度の国際産業遺産保存委員会（TICCIH）での海外発表に向けたサマリーを提出し、採択との結果を受けたためフルペーパーの準備を進めるとともに、今年度推薦を受けて日本ICOMOS国内委員会のメンバーとなり、最終年度発表に向けた情報収集を行っている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は自身の研究環境が大きく変化したため、研究の推進それ自体の進捗が危ぶまれたが、北九州市立文書館での調査によって、製鐵所時報「くろがね」をはじめとした製鐵所関連資料、とりわけ化工部・副産部に関わる非売品アルバムなど、当初想定していなかった部分での成果を得ることが出来た。このことによって、当初成果としてもくろんでいた鉄鉱滓煉瓦の導入と普及のいきさつに関して一定の推論を導き出すことが出来た。スウェーデン調査によって明らかになった「３．派生する技術との関連性」について、とりわけからみ煉瓦との相互比較による鉄鉱滓煉瓦発明に至るプロセスを確認できたことは、最終的な成果報告の際の基軸となりうるものである。今後建築材としての「１．導入のいきさつ」を含め、日独、あるいはヨーロッパ各国における鉄鉱滓煉瓦の使用状況との差異について平成30年度の研究発表などによって確認し、平成31年度に行う予定のドイツ海外調査につなげていきたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
調査事業における停滞事項であった、製鐵所文書の閲覧及び精査作業に関しては、九州国際大学の所蔵する製鐵所文書から調査を進めていきたいが、これに関しては、手続き上の困難が想定される。別方面からの同様の調査成果を得るための方策を考えるとともに、当初計画に記した九州大学大学文書館内に残る学生実習報告などの資料についても、今後具体的なアルバイト雇用計画を詰め、次年度から本格的な調査を行っていきたい。
関係者ヒアリングに関しては、昨年度材料工学の研究者からヒアリングを行い重要な見解を得ることが出来た。ここでの成果を元に次年度本格的な企業向けヒアリング調査を行い、研究達成度をさらに深めていきたい。釜石地区や室蘭地区への現地調査については、研究者との照会を行っており、都合が付き次第適宜調査に赴き、八幡との素材の差異をはじめとする確認作業を推進していきたい。
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Research Products
(4 results)
