2019 Fiscal Year Annual Research Report
Real-time monitoring of landslides and characterization of mechanisms using seismic waveforms
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17H04733
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 真澄 京都大学, 防災研究所, 助教 (60456829)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地すべり / 地震波形 / 運動メカニズム / 摩擦構成測 / すべり面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、地すべりに伴って生じる振動の地震波形解析を行い、新しい地すべりモニタリングの手法について、検討を行った。 1つ目に、2018年12月にインドネシアのアナク・クラカタウ島で発生した山体崩壊の地震波形解析を行った。この山体崩壊は、火山の噴火に伴って発生し、大規模な津波を引き起こした。津波によって500名近くの死者が出た。この山体崩壊は、地震のように強い揺れを伴わなかったため、通常の津波警報システムで検知することは困難であったが、地すべりに特徴的な周波数や震源メカニズムを利用することにより、山体崩壊発生の数分後に災害の発生を知ることができることが分かった。この解析手法を応用することにより、地すべりによって発生する津波警報を出すことができる。7月にインドネシアの気象気候地球物理庁と地質調査所を訪問し、今後の共同研究のための打ち合わせを行った。 2つ目に、2011年9月に静岡県浜松市で発生した深層崩壊の地震波形解析を行った。研究代表者は、同じ台風によって発生した紀伊半島の深層崩壊群の地震波形解析を行っているが(Yamada et al., 2012, 2013, 2016, 2018 )、静岡県については未調査のままであった。筑波大学との共同研究により、静岡県の深層崩壊の運動メカニズムについて明らかにし、既存の方法よりもよりロバストに地すべりを検出できる手法を適用した。今後は、他の地すべりにも同手法を適用して、リアルタイム検知に向けての検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、地すべり信号記録の収集と経験式の構築、地すべり周辺の地震観測とひずみ計測、スティックスリップ現象のモデリングを行う予定であった。 インドネシアの山体崩壊と静岡の地すべりの運動メカニズム解明という新しい地すべりイベントの記録を収集し、解析を行う事ができたが、スティックスリップ現象のモデリングは進められなかった。地すべり周辺の地震観測とひずみ計測は実施できたが、データに大きな変動は見られなかった。また、年度末に計算用サーバーが壊れたため、新しいサーバーの購入およびプログラムやデータの復旧を行う必要が生じた。このトラブルにより、当初予定していた研究の一部は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、元々予定していた地すべりのモニタリング観測は新型肺炎の流行により困難になる見込みなので、既存のデータの解析を中心に研究を進める。 2019年度の研究成果により、三角形アレーを利用した地すべり検知手法が、従来の波形インバージョンの手法よりも簡便でより小さな信号まで捉えられる可能性がある事が分かった。今年度は、この手法を過去の国内の地震観測網データに適用し、地すべり信号の検知を試み、手法の有効性を検証する。さらに、これまでに開発した手法と比較して検知能力や検知精度の分析を行う。そのために必要なデータサーバと計算機の購入を行う。 もし三角形アレーを利用した手法に十分な検知精度があれば、京都大学防災研究所でリアルタイムで利用できる地震波形データに適用し、オンラインの地すべり検知プロトタイプシステムを構築する。検知結果は、パスワード保護されたTwitterなどで見れるようにし、オンラインで精度検証が簡単にできるように工夫する。
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Research Products
(6 results)