2017 Fiscal Year Annual Research Report
稠密地震観測に基づく地すべり地の揺れ方の推定と地震時安定性評価の高度化
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17H04734
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 助教 (00572976)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地すべり / 地震動 |
Outline of Annual Research Achievements |
地すべり地における地震時の揺れの特性を解明するために、本年度は北海道浜中町の海岸地すべりに観測網を設営し集録を開始した。観測網には、強震計、速度計に加え、地震時の移動体の変形を計測する傾斜計をインストールした。また、移動体内の間隙水圧、気象要素や移動体の変位を測定する装置も設営され、地震時の揺れ方だけではなく、揺れに伴ってどのような現象が斜面内部で発生しているかが多方面から明らかとなることが期待される。2017年9月から観測を開始し、多数の微小地震と数十ガル程度の地震動を記録することに成功し、弱震時の増幅特性を見積もった。また、移動体内部、および、その周辺部において稠密な微動観測を実施したところ、地質調査結果から推定される移動体の厚さに対応するように、共振周波数が変化することが分かった。 また、大きな地震が観測期間中に発生しなかった場合に備え、紀伊山地の重力変形斜面に展開した鉛直加速度計アレイや地表多点観測においてすでに得られている地震波形記録を解析した。その結果、地震波の特徴的な周波数が移動土塊を不安定化させることがわかり、また、移動土塊が開放されている方向への増幅が大きくなることが示された。 さらに、強震時の地盤の挙動について把握するため、平成28年熊本地震において数 km 程度の範囲が水平移動を示したことがわかっている阿蘇谷においてボーリング調査を実施し、脆弱な湖成層の分布や地盤特性について調べた。その結果、水平移動域で湖成層の厚さが移動しなかった領域よりも局所的に大きくなっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り北海道の海岸地すべり地において地震観測網を設営し、集録を開始することができた。また、微動稠密観測も終え、予察的な結果が得られている。大きな地震が発生しなかった時に備え、従来より取得していた観測データの解析も行い、移動体の不安定化挙動に寄与する地震動の特徴も明らかにした。これらのことから、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は新たに紀伊山地の付加体における重力変形斜面において多点の地震観測網を設営し、地震動と傾斜の多角的観測を開始する。また、昨年度設営した北海道の海岸地すべりにおける地震観測記録を解析し、弱震時と強震時における斜面の揺れ方について解剖する。
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Research Products
(15 results)