2018 Fiscal Year Annual Research Report
稠密地震観測に基づく地すべり地の揺れ方の推定と地震時安定性評価の高度化
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17H04734
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 助教 (00572976)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地すべり / 地震動 / 斜面の変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
紀伊山地の深層崩壊発生斜面において多点の地震観測網を構築し、連続地震観測を開始した。2018年6月18日の大阪府北部の地震(Mj 6.1)や2018年11月2日の紀伊水道の地震(Mj 5.4)とともに多数の微小なイベントの記録に成功した。異なる周波数帯によって観測記録を解析したところ、ある周波数を境に斜面でコヒーレンスが高い震動を示す周波数帯とインコヒーレントな挙動を示す周波数帯に分かれることを示した。 また、北海道の浜中町の地すべりにおいては昨年度設営した地震観測の継続を、根室市の海岸に面する岩盤地すべりにおいては新たに強震計を設置し観測を開始した。浜中町の地すべりにおいては、2018年4月14日の根室半島南東沖の地震(Mj 5.4)によって最大加速度700ガルを記録した。また、その際に間隙水圧の上昇や斜面の変形を捉え、強震時の斜面の不安定化について多項目の観点から計測することに成功した。また、この地すべりにおいて稠密な微動観測を実施し、そのピーク周波数を調べたところ、その分布が移動体の厚さに対応することがわかった。 さらに、熊本地震によって被災した盛土や首都圏の盛土において取得された地震観測データと間隙水圧や傾斜のデータを解析し、地震後の盛土の変形の継続性や地震時の地盤の変形について調べた。その結果、強震によって不安定化した盛土地盤は少なくとも半年程度は不安定化が進んだことや、最大加速度が数百ガル程度までの震動に対しては地盤の塑性化に伴う過剰間隙水圧の大きさは最大加速度と正の相関を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた紀伊山地における地震観測網の構築のみならず、北海道の岩盤地すべりにおいても強震計の観測を開始することができた。また、昨年度には、斜面の微小な変形を伴う地震が発生し、強震時の斜面の振る舞いを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に従って、地震動と斜面の変形の観測を継続する。また、これまでに取得されたデータに対して詳細な解析をおこなうことによって、斜面内部での地震動の不均質性についても議論する。あわせて、内部での微動観測も継続する。
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Research Products
(10 results)