2018 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞のT管支持機構と崩壊機序の解明による新規心不全治療戦略の創出
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17H04740
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リモデリング / バイオメカニクス / メカノフィジオロジー / カルシウム / 心不全 / T管膜 / 心筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓は,全身に休むことなく血液を供給するポンプとして働いている.心臓のポンプ機能を支える心筋細胞には,T管膜と呼ばれる,形質膜が細胞の収縮方向と直交する方向に陥入した管状構造が存在する.T管膜構造は,サルコメアの間隔で周期的に存在し,細胞内に張り巡らされた筋小胞体カルシウムストアと近接しているため,膜電位変化を瞬時に筋小胞体からのカルシウム放出に変換することが可能である.このような構造的特徴は、細胞内のカルシウム濃度を急速にかつ均一に上昇させ、細胞内のサルコメアの同調した動きの実現に貢献している.そのため,T管膜構造の崩壊は,重篤な心不全の発症につながる.しかしながら,T管膜の支持機構については未だ不明な点が多く,崩壊の詳細なメカニズムは明らかになっていないのが現状である. 本年度は,まずT管膜の機能を評価するために,心筋細胞のカルシウムイメージングの実験系の改良を行った。光源をLEDにすることで,励起波長を高速に切り換えることが可能になり,レシオメトリーによるカルシウムイメージングを実現した.さらに,この光源と40倍の水浸対物レンズを用いることで,細胞内のカルシウム濃度分布の計測を可能にした.また,除振台を新しいものに変更することで,実験中の振動によるノイズが減少し,安定した計測が可能になった.大動脈を縮窄することで左心室に過大な圧力負荷を与え心不全を誘導したマウスや遺伝子改変によって心不全を誘導したマウスの心臓の解析を行った.心不全の進行過程に伴うタンパク質の発現量の変動や局在の変化を解析することで,T管膜の崩壊に重要なタンパク質の絞り込みを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初においては計画以上に進展していたが,年度途中に川崎医科大学から名古屋工業大学に異動したため,実験系のセットアップや環境整備に時間を要した.総合的に考えれば,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
年度途中に,名古屋工業大学に異動し,新たに二光子顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡を使用できる環境にある.これまでに構築した実験系に加え,新しい計測系も積極的に用いて,T管膜構造の維持機構と崩壊の機序の解明に取り組む.
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[Journal Article] Loss of Endogenous HMGB2 Promotes Cardiac Dysfunction and Pressure Overload-Induced Heart Failure in Mice2019
Author(s)
Michio Sato, Keishi Miyata, Zhe Tian, Tsuyoshi Kadomatsu, Yoshihiro Ujihara, Jun Morinaga, Haruki Horiguchi, Motoyoshi Endo, Jiabin Zhao, Shunshun Zhu, Taichi Sugizaki, Kimihiro Igata, Masashi Muramatsu, Takashi Minami, Takashi Ito, Marco E Bianchi, Satoshi Mohri, Kimi Araki, Koichi Node, Yuichi Oike
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Journal Title
Circulation Journal
Volume: 83
Pages: 368-378
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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