2018 Fiscal Year Annual Research Report
メカノスペクトル多次元分子解析システムと高精度前立腺癌診断法の創生
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17H04746
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
浮田 芳昭 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40578100)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は分子間相互作用のハイスループット化を中心に取り組んだ.特に固相表面の原子設計の自由度を高めるために,固相表面への官能基導入処理に注力した.具体的にはシランカップリングによるアミンの導入技術を検討し,液相反応による導入方法と,気相反応による導入方法を検討した.液相反応で導入を試みた実験においては,XPSによる計測の結果に於いても,窒素が殆ど検出されないという結果となった.一方,気相反応系に於いては,多くの窒素が検出され,アミンの導入に成功していることが示唆される結果を得た.また,市販のアミン導入固相との比較に於いても有意に多くのアミンが検出される結果を得た.開発した固相を用いて,分子間相互作用計測実験を試みたが,実験の再現性が芳しくない状況である.ただし,抗原の導入や抗体の導入の条件,また,固相の作製条件によっても異なる結果が得られるケースも多く,実験再現性を向上する試みが重要であることが示唆された.このため,測定ホルダーの改良にも取り組み,計測中に発生する気泡の現象なども抑制に成功した.さらに,リアルタイムの分子間相互作用計測を実現するため,山梨大学ものづくり教育実践センターとの協力の元,リアルタイム計測システムの中核になる制御機構の開発にも着手し,装置の回転と同期撮影を実現するための,マイコンの開発を完了することができた.さらに,これを用いることでリアルタイム顕微鏡観察実験に着手し,光学系の最適化に取り組んで行く段階にまで来ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は当初から分子間相互作用の計測スループットを向上するため取り組む予定であり,これに注力して研究を行ってきた.現在一度に解析可能な相互作用力は1000程度にまで向上しており,当初の目標を達成している段階である.これは,新規の測定方法を検討したことが大きく貢献しているが,同時に,多量の結合力を解析するための画像解析技術のための解析アルゴリズムの開発にも取り組んできたことが功奏している.
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Strategy for Future Research Activity |
実験の再現性,安定性に課題を有しているため,この原因を多角的に探っていくことが重要である.特に,現在開発中の新原理に関しては,表面同士の相互作用が顕著になるため,これを制御するための界面設計に取り組むことが重要である.これには,H30年度に開発した表面修飾技術を基盤として,測定に関与する界面の原子設計について様々な方法を検討していく必要があると考える.また,測定ホルダー内で流体が流動する現象のコントロールもかなり重要であることが示唆されており,このような課題についても効果的な手立てを講じる必要がある.また,分子に対する荷重印加中にリアルタイム観察するための観察技術の確立も現象を把握する上で重要であり,これまでの技術蓄積を基盤としてシステム開発に取り組んで行く.
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