2017 Fiscal Year Annual Research Report
イムノメタボリズムから立案する新規リハビリテーションプログラムの開発
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17H04747
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前重 伯壮 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90617838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マクロファージ / 筋管細胞 / 超音波刺激 / イムノメタボリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
<共培養系の確立>骨格筋刺激が免疫細胞に与える影響を解析するために、筋管細胞とマクロファージの共培養系を確立した。C2C12筋芽細胞を分化誘導させて筋管細胞(myotube)を得て、マクロファージは生体の生理学的な反応を再現するために、マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)を初代培養し、実験に用いた。骨格筋を刺激するために、myotubeとBMDMの培養皿を分け、myotubeを刺激した後に培養上清をBMDMの培養皿に移し、BMDMの反応を解析した。 <myotube刺激のマクロファージ極性に対する影響>骨格筋から産生されるmyokineの抗炎症作用が知られているため、マクロファージの異常なM1極性を抑制してsystemicな過剰炎症を制御できる可能性がある。そこで、myotube刺激により産生される因子がBMDMのM1極性亢進へ与える影響を検討した。リポポリサッカライド(LPS)をBMDMに添加し、その後M1極性を示す遺伝子(M1 gene)を測定した結果、myotubeの培養上清で培養されたBMDMでは、M1 geneの発現亢進が有意に抑制された。さらに、myotubeを高強度超音波で刺激することでその効果が増強する所見が得られた。 <myotube由来細胞外小胞の解析>骨格筋由来の抗炎症性物質が、細胞外小胞によって運搬されていることが知らてている。本研究においても、myotube由来の細胞外小胞がBMDMに作用して極性を制御していることが想定される。そこで、細胞外小胞の測定系を確立した。myotubeの培養上清を採取し、数時間の超遠心によって得られたサンプルをナノ粒子解析システムによって分析したところ、豊富な細胞外小胞がmyotube上清に含まれていることが確認された。 <代謝フラックス解析>BMDMを持ちいた代謝フラックス解析の測定系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス由来筋芽細胞C2C12からの筋管細胞(myotube)への誘導、マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)の初代培養に成功し、それらの共培養系を確立することができた。また、myotubeの培養培地がBMDMにおけるM1極性を制御する(M1極性の異常亢進に対する抑制効果)ことが確認され、超音波刺激によってその効果が促進される所見が得られた。さらに、この細胞間コミュニケーションの因子と想定されている細胞外小胞(Extracellular vesicle)を、myotubeの培養培地から検出することに成功し、測定系が確立された。これらのことは、本研究の当初の研究計画に沿った進捗であり、次年度以降研究を発展させるための土台となる。さらに、ハーバード大学公衆衛生大学院Genetics and Complex Diseases領域との共同研究体制を確立できたため、今後も方法論および環境を共有できる。これらのことから、進捗が順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
骨格筋刺激によるマクロファージのM1極性制御の機序解析を中心的に行う。特に、骨格筋刺激による細胞外小胞の産生と、マクロファージ内での代謝動態の変化を中心的に解析する。これらの機能的な解析にinhibitor実験を加えることで、マクロファージ極性の制御のために骨格筋内で賦活するべき因子を明らかにする。 これらの機序解析と並行して、超音波療法等の物理刺激条件の最適化についてもさらに検討を進める。
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Research Products
(3 results)