2017 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the association of gait and cognitive dysfunction
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17H04760
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
桜井 良太 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00749856)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歩行機能 / 認知機能 / 2重課題 / APOE / 脳構造 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、歩行機能と認知機能の関連性が加齢に伴いどのように変容し、因果関係を形成するか否かを明らかにすることを大きな目的としている。平成29年度は調査体制の確立およびデータの収集を進めるとともに、軽度認知障害の高齢者(認知症ではないが、認知機能が年齢相応よりも低下した状態にある高齢者:以後、MCI高齢者)における歩行機能と脳構造の関連を検討した。 実施した調査から、高齢者1300名の詳細な歩容データおよび認知機能低下に対する最大の遺伝子リスクファクターであるアポリポ蛋白E(Apolipoprotein E)の表現型に関するデータの収集を行い、現在データの解析を行っている。MCI高齢者における歩行機能と脳構造の関連性に関する検討では、2重課題条件下での歩行時(簡単な暗算などの認知的負荷がかかる課題を遂行しながらの歩行)に歩行速度が顕著に遅くなるMCI高齢者ほど将来の認知症発症リスクが高いことに着目し、その神経基盤について解析を行った。具体的には、加齢に伴い早期に萎縮が始まり、特に認知症患者で特異的に萎縮が認められる脳部位である「海馬」と「嗅内野」(記憶を中心とした認知機能を司っていると考えられる脳部位)に着目して、2重課題歩行検査の成績との関連性を検討した。解析の結果、2重課題歩行時に歩行速度が遅くなる高齢者ほど左側の嗅内野の容量が萎縮していることが明らかとなった。本研究の結果は、2重課題歩行時の歩行速度の顕著な低下が認知症発症の前駆症状となり得ることを示唆しており(すなわち、認知症発症に関わる脳形態の変化を反映する運動行動変化である可能性)、認知症発症リスクの早期発見に寄与する研究成果であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り、大規模健診によって歩行データおよびアポリポ蛋白Eの表現型に関するデータの収集が行えている。また、これまで収集したデータの解析状況も順調であることから、本研究はおおむね順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、追跡を予定しているコホートに対する調査を行い、長期縦断データベースの構築と、歩行機能低下と認知機能低下の因果関係解明に向けた解析を行っていく。
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Research Products
(13 results)