2018 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造と発現スクリーニングに立脚した非天然型酵素反応の創出
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17H04763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淡川 孝義 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (80609834)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酵素精密機能解析 / インドールテルペノイド / 酵素機能改変 / 酸化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドールテルペノイドは構造多様性に富み、有用な生理活性を持つ。その一つであるテレオシジンとそのホモログ生合成酵素を用いて、構成アミノ酸が変異したテレオシジンアナログを新たに取得する。テレオシジン生合成系P-450酸化酵素であるTleBと、希少放線菌Streptoalloteichusに存在するアナログHinDをHis-tag融合タンパク質として大腸菌に発現し、Ni Affinity精製することで、酵素標品を取得した。これに対して、化学合成によって調製したジペプチド基質を作用させることで、TleB はN-methyl-L-valyl-L-tryptophanolを、HinDはそれに加えて、N-methyl-L-phenyl-L-tryptophanolを受け入れることを明らかにした。また、それぞれN-methyl基を求核性の異なる官能基へと変換した基質を用いることで、C-N結合でなく、新規6-5-6員環構造を持つ化合物、あるいは脱メチル化が起きた生成物を合成することに成功した。TleB、HinDの結晶構造解析を行い、そのアポ体の回折データを共に2.2Aの解像度で、基質の複合体構造をそれぞれ1.9, 2.6Aの解像度で取得した。複合体の構造解析により、indole環のN1位がヘム鉄に近づくことが明らかとなり、C-N結合形成および、6員環形成反応はまずN1位からの水素原子の引き抜きによって反応が開始することが示唆された。続く反応によって、N1位の水素原子の引き抜き後コンフォメーション変化が生じ、N13位がヘムに近づくことでN13位の水素原子が引き抜かれ、ラジカルが生じると考えられた。さらに詳細に活性部位の解析を行うことで、TleBのLeu85、Ser170、Val388、HindDのMet85、Phe170、Ala388が基質の保持に重要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テレオシジンとそのホモログ生合成酵素を用いて、構成アミノ酸が変異したテレオシジンアナログを新たに取得するために、それぞれの酵素の立体構造解析を行っている。その中の鍵反応であるC-N結合形成に関わるP-450酸化酵素TleBとそのホモログ酵素のHindDの機能の同定、X線結晶構造を行い、基質特異性や反応性の改変に必要な情報の取得を行っている。TleB、HinDの結晶構造解析に成功し、これらの構造と特異な反応基盤を明らかにしつつある。また、非天然型基質を反応に用いることで、C-N結合形成以外の予想外の生成物の取得に成功し、新規インドール化合物を取得した。今後、酵素の立体構造解析から得た知見を遺伝子発現系へと応用することで、新規化合物物質生産へとつなげていく予定である。現在、野生型の修飾酵素反応と非天然型の生合成反応とを組み合わせることで、新たな有用活性を持つテレオシジン化合物を合成するための基盤を構築している状態であり、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
C-N結合形成に関わるP-450酸化酵素TleBにさらにアミノ酸変異を加え、 TleB、HinDの機能の相互変換を試み、基質特異性に重要なアミノ酸残基を同定する。また、N13位の水素原子の引き抜きの証拠を得るために、基質アナログの複合体結晶構造解析やストップフロー解析を行う。TleB、HinDのホモログであるHinC、HinIもHinDクラスターに含まれており、これらの触媒機能を同定し、さらに基質特異性、反応性に関する知見を得る。また、HinDの基質であるN-methyl-L-phenyl-L-tryptophanolをin vivoで合成すべく、TleAの基質認識ドメイン(Aドメイン)にランダム変異を加え、得られた変異酵素を放線菌内でin vivoスクリーニングすることで、物質生産に適した変異体の取得を試みる。最終的にはプレニル基転移酵素TleC、環化酵素TleDを利用し、非天然型のインドールテルペノイド生産ライブラリーを構築する。PKCサブタイプ特異的な活性化因子、抑制因子を求めて、その中より活性スクリーニングを行う。
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Research Products
(25 results)