2019 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造と発現スクリーニングに立脚した非天然型酵素反応の創出
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17H04763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淡川 孝義 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (80609834)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インドールテルペノイド / 二次代謝酵素 / 物質生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドールテルペノイドは構造多様性に富み、有用な生理活性を持つ。その一つであるテレオシジンとそのホモログ生合成酵素を用いて、構成アミノ酸が変異したテレオシジンアナログを新たに取得する。テレオシジン生合成系P-450酸化酵素であるTleBと、希少放線菌Streptoalloteichusに存在するアナログHinDをHistag融合タンパク質として大腸菌に発現し、Ni Affinity精製、Superdex200pgによってゲル濾過精製することで、高純度精製酵素を取得した。これに対して、各種スクリーニングを行い、それぞれのタンパク質結晶を取得した。これにN-methyl-L-valyl-L-tryptophanolや、N-methyl部が水酸基に置換されたアナログ、Tryptophanのインドールをチオフェンに置換したアナログを作用させ、それぞれ複合体結晶構造解析を行った。その結果、基質アナログでは、酵素への基質の配向が変わり、C-N結合ではなく、インドール1,2位のエポキシド形成、水酸基の攻撃による6-5-6員環構造の形成、イソプロピル基の水酸化、またはN-methylからの脱メチル反応などの、野生型とは異なる反応が起き、非天然型生成物を与えることを明らかにした。チオフェンの基質を作用させ、複合体結晶を解析すると、N13位の水素原子がヘム鉄に近接することがわかり、さらに反応機構の推定に役立つ知見が得られた。以上より、N1位からの水素原子の引き抜き、N13位の水素原子が引き抜かれ、ジラジカルが生じ、C-N結合が起きる反応機構に加えて、さらに非天然型の基質の投与によって、天然にはない、様々なteleocidinアナログを生成可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テレオシジンとそのホモログ生合成酵素を用いて、構成アミノ酸が変異したテレオシジンアナログを新たに取得するために、それぞれの酵素の立体構造解析、非天然型基質を用いたin vitro反応を行っている。その中の鍵反応であるC-N結合形成に関わるP-450酸化酵素TleBとそのホモログ酵素のHindDの機能の同定、X線結晶構造を行い、基質特異性や反応性 の改変に必要な情報の取得を行っている。TleB、HinDの結晶構造解析に成功し、これらの構造と特異な反応基盤を明らかにした。また、非天然型基質を反応に用いることによる反応機構の推定、新規化合物の取得に成功した。今後、酵素の立体構造解析から得た知見を遺伝子発現系へと応用することで、新規化合物発酵生産へとつなげていく予定である。現時点での本研究のまとめとして、Nature姉妹誌に論文投稿、受理されており、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
TleB、HinDのホモログであるHinC、HinIの触媒機能を同定し、さらに基質特異性、反応性に関する知見を得る。また、HinDの基質であるN-methyl-L-phenyl-Ltryptophanolをin vivoで供給し、微生物生産系を構築すべく、TleAの基質認識ドメイン(Aドメイン)にランダム変異を加え、得られた変異酵素を放線菌内でin vivoスクリーニングすることで、物質生産に適した変異体の取得を試みる。プレニル基転移酵素TleC、環化酵素TleDを利用し、非天然型のインドールテルペノイド生産ライブラリーを構築する。PKCサブタイプ特異的な活性化因子、抑制因子を求めて、その中より活性スクリーニングを行う。
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Research Products
(20 results)