2019 Fiscal Year Annual Research Report
人と動物の共存の文化的基盤にもとづくアフリカ大型類人猿の保全と地域開発の統合
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17H04767
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松浦 直毅 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60527894)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アフリカ / 熱帯雨林 / 大型類人猿 / 持続的開発 / 環境保全 / ヒトと動物の関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大型類人猿の重要な生息地であるとともに長期野外研究の拠点でもあるアフリカ中部の三つの自然保護区(ガボン:ムカラバ・ドゥドゥ国立公園、コンゴ民主共和国(DRC):ルオー学術保護区、タンザニア:マハレ山塊国立公園)において、地域住民を対象に人類学・民族誌的調査をおこなうことで、地域に根ざした視点から、類人猿の研究と保全が統合的に発展し、将来にわたって地域の持続的開発にも資するような新たな保護区運営システムを提案することである。 3年目となる2019年度は、日本アフリカ学会、日本文化人類学会で口頭発表したほかDRCのキサンガニ大学で開かれたセミナーで現地研究者や学生に対して研究報告をおこなった。コンゴ民主共和国における研究と実践の取り組みをまとめた編著書『コンゴ・森と河をつなぐ―人類学者と地域住民がめざす開発と保全の両立』(松浦直毅・山口亮太・高村伸吾・木村大治編、明石書店)が2020年3月に出版された。 現地調査として、7月にタンザニアに渡航し、前年にひきつづき住民の生計、土地利用、国立公園との関係について調査をおこなった。8~9月にはDRCにおいて、自然資源利用の調査をおこなうとともに、地域住民との協働による森林保全と資源管理のあり方について議論を深めた。12~1月にはガボンに渡航し、ゾウをはじめとする野生動物による獣害や保全政策に対する住民の認識について広域調査をおこなった。DRCにおける開発と保全の実践的研究についてまとめた論文を投稿し、ガボンの野生動物と住民の関係についての論文は投稿準備中である。 おおむね計画通りに現地調査を実施することができ、十分な調査データが蓄積された。書籍が出版されたのをはじめ、論文執筆も進んでおり、成果も着実にあがっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに現地調査を実施することができ、十分な調査データが蓄積された。書籍が出版されたのをはじめ、論文執筆も進んでおり、成果も着実にあがっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで順調に蓄積されてきたこれまでの成果にもとづいて、最終年となる2020年度は本研究のまとめをして、各調査地の関係機関へのフィードバックをおこなう予定である。現地調査や研究交流、ワークショップ開催などのため、アフリカの三つの調査国およびヨーロッパに渡航を計画しているが、新型コロナウイルス感染拡大によって、渡航が困難な状況が続くことも予想される。その場合は、オンライン会議などの仕組みも用いた対応策も検討する。
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