2019 Fiscal Year Annual Research Report
精神分析理論をもとにした『狂気と創造性』の問いをめぐる包括的な思想史的研究
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17H04769
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 卓也 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90782566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 病跡学 / 狂気 / 創造性 / 自閉症 / ラカン / ドゥルーズ / ハイデガー / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、16H06876「「狂気と創造性」の問いをジャック・ラカンの精神分析理論をもとに発展させる試み」を発展・継承するものであり、これまで行ってきた西洋思想から現代思想に至る狂気と創造性についての研究は、2019年3月末に『創造と狂気の歴史』に単著としてまとめられた。今年度は、この成果を国際発信することを中心に研究を進めた。 まず、前掲書のジル・ドゥルーズにおける「狂気と創造性」についての議論を、世界のドゥルーズ研究者が集う関するDeleuze/Guattari Camp 2019において「Lacanian and Deleuzian Perspectives on Autism」としてその概要を発表した。その内容の一部は雑誌『こころの科学』に掲載された。さらに、Deleuze/Guattari Camp 2019でのフィードバックを受けてブラッシュアップしたものを、フランスの精神分析家を数多く招聘して行ったシンポジウムCorps, Art, Folie - La douleur a l’oeuvreにおいて「L’autisme, d’un point de vue lacanien et deleuzien」として発表した。なお、今年度の補助金はこの後者のシンポジウムを共催するためにも用いられた。 その他、国内の日本病跡学会総会でも、本研究課題についてシンポジウムで提題し、本研究課題の重要性を国外・国内に広くアピールすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従って、単著を完成・出版し、その内容を国内外に発信することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、主要な成果物を提出し、また本研究課題についての国際的なシンポジウムにおいて発表、ならびに共催を行うことができた。2020年度は、本研究をさらに学会発表や論文発表、講演会などを通じて深めるとともに、国際発信を続ける。また、本研究課題は2020年度が最終年度であるが、国際共同研究強化(A)を申請し、基課題の研究計画を格段に発展させることを視野に研究を進めていく。
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